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RCPMの児童への適用
日本においてレーヴン色彩マトリックス検査(RCPM)は成人を対象とした簡易知能検査に分類されます。
しかし解釈に気をつけた上でなら小児への適用も可能と考えられます。
一例としてレーヴン色彩マトリックス検査を小学校2年生の健常児に実施した場合、平均点は29.5点、標準偏差は5.6となります。
以下、レーヴン色彩マトリックス検査の小児適用について見ていきます。
解説
RCPMの位置づけ
レーヴン色彩マトリックス検査は模様の足りない部分を選択肢から選ぶという方式の検査です。
このため文化的背景を受けにくい、非言語的な検査に分類されます。
また15分前後と比較的短時間で実施できる点から簡易知能検査に位置付けられます。
このため海外では小児から成人まで行える知能検査として使用されることもあります。
一方で日本では非言語的な検査という性質から失語症患者への検査として行われることが多く、小児適用があまり多くない現状があります。
しかし学習障害などの支援、子供の教育にエビデンス(科学的根拠)が求められる昨今、レーヴン色彩マトリックス検査のように簡便に知的面を評価できるツールは小児の現場でも重宝されることが予想できます。
RCPMの児童適用
筑波大学の研究論文によると、
レーヴン色彩マトリックス検査の児童の結果はWISCとの相関が見られたようです。
つまりレーヴン色彩マトリックス検査を小児の評価に実施することは妥当であると考えられます。
また傾向としては、
レーヴン色彩マトリックス検査の得点は学年が上がるにつれて上昇する傾向があったようです。
児童のRCPMの平均点と標準偏差
以下、児童のRCPMの平均点と標準偏差を見ていきます。
()内が標準偏差になります。
2年生:29.5(5.6)
3年生:30.4(4.8)
4年生:32.3(4.4)
5年生:32.9(3.7)
6年生:33.0(3.8)
平均点と標準偏差の補足説明
最後に補足となります。
レーヴン色彩マトリックス検査に限らず知能検査の理解には「平均点」と「標準偏差」の関係の理解が大切になります。
以下は知能検査における「平均点」と「標準偏差」についての解説です。
参考資料
『レーヴン色彩マトリックス検査』(日本文化科学社)2021年5月27日検索
『健常児におけるレーヴン色彩マトリックス検査』(音声言語医学)2021年5月27日検索