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レーヴン色彩マトリックス検査の平均点は年々上昇している
レーヴン色彩マトリックス検査は、文化的背景に影響されない検査とされています。
これはつまりその人の知識量や言語力に左右されない俗に言う「地頭の良さ」を見る検査であると言えます。
しかしながら、
人々のレーヴン色彩マトリックス検査の平均点は時代と共に上昇している傾向があります。
この原因は定かではありませんが、
レーヴン色彩マトリックス検査が人間の「普遍的な能力」を測れる検査であるという認識は適切でないことを示しています。
解説
レーヴン色彩マトリックス検査の位置づけ
レーヴン色彩マトリックス検査は模様の足りない部分を選択肢から選んでもらう検査です。
模様であるため問題文を読む必要がなく、選択肢があるため言葉を発する必要もない非言語的な検査です。
また模様の欠如部分を選択するという問題の性質から、知識量(例えば歴史や科学の知識)や言葉の巧みさが検査結果に影響を与えません。
このようにレーヴン色彩マトリックス検査は俗に言う「地頭の良さ」の良さを見ることができそうな検査です。
心理学者のスピアマンをはじめ心理学ではこういった「地頭の良さ」を示す知能を「g因子(一般知能因子)」と読んでいます。
レーヴン色彩マトリックス検査は「g因子(一般知能因子)」を測定するために開発された経緯があります。
フリン効果とは?
レーヴン色彩マトリックス検査に関わらず、知能検査の平均点は時代が進むにつれて上昇していることがわかっています。
これは知能検査として有名なウェクスラー式の知能検査も同様です。
このように、人類の知能検査の結果つまりIQの平均点が年々上昇している現象を「フリン効果」と言います。
レーヴン色彩マトリックス検査とフリン効果
知識や文化に左右されない検査とされるレーヴン色彩マトリックス検査においても、時代による平均点の変動が見られます。
レーヴン色彩マトリックス検査が他の検査と比べて文化的背景に影響されにくい非言語検査であることは確かですが、その結果が人間の何か普遍的な能力を測れているとするのは誤りであることがわかります。
レーヴン色彩マトリックス検査の小児適用
取り扱いと解釈に慎重さが必要なのはレーヴン色彩マトリックス検査に関わらず知能検査全般に言えることです。
以上を踏まえた上で、ここからはレーヴン色彩マトリックス検査の実際的な活用について考えます。
レーヴン色彩マトリックス検査は成人向けの検査ではありますが、その問題性質から小児への適用研究も見られます。
以下、小児へのレーヴン色彩マトリックス検査の実施について触れていきます。
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参考資料
『レーヴン色彩マトリックス検査』(日本文化科学社)2021年5月27日検索
『健常児におけるレーヴン色彩マトリックス検査』(音声言語医学)2021年5月27日検索