知能指数(IQ)という言葉は誰もが一度は耳にした言葉でしょう。
しかしながらIQというものがどういうものなのかいまひとつピンとこない人も多いのではないのでしょうか?
【知能指数(IQ)って?】
IQとは知能検査によって算出された、その人の知能の目安です。
知能検査はいろいろな種類があり、どれをどのように使うかで解釈が微妙に異なります。
今回は最も多くの現場で使われているウェクスラー式という検査方法を前提にIQについて考えていきます。
【IQの性質】
知能指数(IQ)は、その人の知能が同年齢の他の人達と比べて高いか低いかを表します。
端的に言うと「人と比べてどうか」ということになります。
なぜ人と比べることが必要なのでしょうか?
比べることのメリットはなんでしょう?
【なぜIQが必要?】
例えば100点満点のテストをAさん達が受けたとしましょう。
B:50点
C:50点
D:100点
E:100点
このときテストの平均点は70点。
Aさんは平均以下ではありますが、半数以上の人が平均以下。Aさんが特別勉強ができないとは考えにくいです。
DさんとEさんが頭が良かったというだけの話です。
しかしこれだとどうでしょう。
B:75点
C:75点
D:75点
E:75点
こちらも平均点は70点です。Aさんの点数もさきほどと同じです。
でもAさんの状況は先ほどより深刻に見えませんか?
Aさん、勉強に着いていけてない?
このようにAさんの得点だけ見てもAさんが周りと同じようにテスト内容を理解できているのか、勉強に着いていけているのかというのはわかりません。他の人は何点をとったのか、何点の人が一番多いのかといった全体の分布を見た上で判断する必要があります。
とは言っても毎回全員の得点をチェックしていくのも面倒です。
そこで登場するのが知能指数(IQ)。
IQならAさんが全体からみてどうかというのがわかります。
【値のおおよその意味】
知能指数(IQ)は平均が100です。
一般的に、
95%以上の人がIQは70~130に該当します。
きちんとした検査でIQを算出したならば、
IQ85~115くらいの値がごく平均と考えられます。
IQ100~115なら中の上というイメージ。
IQ85~100なら中の下というイメージ。
また、IQ130以上なら相当知能が高いと考えられます。
IQ70未満なら、知的障害の可能性も考えなければなりません。
そのためIQ70~80くらいの値が出ると、知的障害と正常域のボーダーラインとして専門機関では経過観察を行うことが多いです。
さきほどの例でいくと、AさんのIQが70と出れば、勉強面、要観察です。
反対に同じテストの点数でもIQが95と出ればそこまで心配はありません。
【IQと診断】
IQが70未満だから知的障害の診断が即つくかというとそういうわけではありません。
IQはあくまで目安であり、知的障害の診断は実際の生活状況や学習状況、本人のいろいろな側面を総合して判断します。
ですのでIQが70未満だから知的障害、70以上あるから知的障害じゃないと言いきれるわけではないのです。
【IQと学校生活】
IQで学校の勉強の状況が100%予測できるわけではありません。
IQさえ高ければ学校の勉強OKというわけではないのです。
学校生活は勉強だけでなく、生活態度や友人関係も大きな要因です。
知能が高くても、それを発揮できる自制心やソーシャルスキルがないと学校で充実した学習を行うことは困難です。
例えば自閉症などの発達障害によりコミュニケーション面に苦手さがある場合、IQが90前後であっても要観察になることがしばしばあります。