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貧困や欠乏はIQを下げる?|行動経済学

公開日:2022年12月8日


 
 

貧困や欠乏はIQを下げる?

 「お金がない」「時間がない」といった「欠乏」は、その人のIQを下げる場合があります。

 欠乏により心理的に安定していない状態になると、人は冷静な判断が難しくなります。

 
 
 

研究

レーヴン漸進的マトリックス検査を使った実験

 欠乏は人の処理能力、とりわけ流動性知能を低下させる可能性があります。

 行動経済学の専門家であるセンディム・ムッライナタン氏とエンダー・シャフィール氏らは、被験者らを2つのグループに分けてレーヴン漸進的マトリックス検査を行いました。

 どちらのグループにも実施前に簡単な仮定の話を聞いてもらいます。

 1つ目のグループでは、車の修理費用が300ドル(およそ4万円)かかる話。

 2つ目のグループには車の修理費用が3000ドル(およそ40万円)かかる話。

 すると、費用が高額である後者の話を聞いたグループのうち、比較的低所得の被験者はレーヴン漸進的マトリックス検査の成績が下がりました。

 貧困というお金に関する欠乏により、高額の出費が精神的な負担となり流動性知能に影響を与えたと考えられます。

 
 

睡眠と欠乏の比較

 たとえば睡眠不足は流動性知能を低下させることが知られています。

 しかし欠乏による心理状態は睡眠不足と同じくらいIQを低下させると考えられています。

 例えば先述のようなお金の欠乏による心理状態は、一晩眠っていない状態よりもレーヴン漸進的マトリックス検査の成績を下げたそうです。

 これを尺度で表すとIQの13~14ポイントに相当し、標準偏差に近い値になってしまいます。

 
 
 

解説

 「時間がない」「お金がない」「余裕がない」など自分の何かが欠乏すると、「心ここにあらず」の状態になるのは誰もが経験があるのではないでしょうか。

 そういった欠乏は無意識に人の判断力や認知能力に影響を及ぼします。

 
 
 

補足解説

レーヴン漸進的マトリックス検査とは?

 
 

IQの平均と標準偏差

 
 

流動性知能とは?

 
 
 

参考資料

-IQ
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