人類は賢くなっているのか?
時代が進む中で、人類の脳の機能が著しく進化しているとは考えにくいです。
しかしながら、
人々は一昔前よりも抽象的な思考能力が高まっていることは考えられます。
これはフリン効果とも言われ、人類の知能検査によるIQの値は年々上昇傾向にあります。
解説
フリン効果とは?
フリン効果とは、人類の知能検査によるIQの平均値が年々上昇している傾向のことです。
心理学者であるジェームズ・R・フリンが提唱したことからフリン効果と呼ばれています。
フリン効果についてよくある議論が、IQの平均値は上昇しているがそれはそのまま「人類が賢くなっている」と捉えていいのかという議論です。
フリン氏をはじめ、人類のIQの平均値は上昇しているが、それが「賢さ」とイコールではないという見解が一般的です。
IQ上昇の背景
人は賢くなっているのか?
「現代の私たちは祖先に比べて考える能力が高いのか」という意味なら、そうではない。
「私たちは、経済発展にともなって増加する諸問題をはじめ、今日の複雑な世界に対処する知的能力を進化させてきたか」という意味なら、そうだ。ジェームズ・R・フリン『なぜ人類のIQは上がり続けているのか?』太田出版、2015より引用
端的には、人々は抽象的な思考習慣が一昔前よりも身についていることが示唆されます。
もちろん「賢さ」が「抽象的な思考力」とイコールかと言えば議論の余地はあるでしょう。
「賢さ」とはもっと広く定義が難しい概念です。
しかし抽象的思考力という1つの能力に関していえば、今の人類は一昔前よりもそういった習慣がついていると考えることもできます。
今の時代は昔の時代よりも抽象的な思考能力を求められることが多く、そのニーズに伴い人々は抽象的な思考習慣が以前よりもついていると考えることができます。
私達は賢いのか?
抽象的な思考力を持つことが、必ずしも人間として優れているかといえばそうとは言えません。
例えば今はコンピューターの知識が役立ちますが、遥か昔の時代であれば獲物を狩る能力のほうが重要だったでしょう。
時代によって人に求められる能力は異なり、どんな能力を持っていることが優れているかという基準は一定ではありません。
フリン氏が言う通り、今の人類は祖先より「賢い」というよりは、「現代的である」という表現が適切であると言えます。