Question
IQがいくつ以下だと知的障害ですか?
Answer
70未満です。(ウェクスラー式知能検査において)
ただし確定診断ではありません。
IQを測る際は知能検査を実施するわけですが、知能検査にもいろいろあります。
知能検査によって、同じ数値でもその意味が異なります。
その知能検査が作られる過程での統計処理が異なるからです。
知能検査の中で有名なものにウェクスラー式知能検査があります。
ウェクスラー式は受ける人の年齢によりいくつか種類があり、現場ではWAIS(ウェイス)やWISC(ウィスク)と呼ばれるものです。
このウェクスラー式の場合、検査結果が70未満になってくると知的障害の可能性が濃厚になってきます。
なぜ「知的障害の可能性が濃厚になって・・」といった断定していない言い方かというと、知的障害の診断は知能検査だけでは決まらないからです。
まず、社会的に知的障害であることが確定するというのは「知的障害の診断を受ける」ことを指します。
この「知的障害の診断を受ける」には専門的な医師の判断が必要だからです。
知能検査を受けて70未満だったから知的障害と自動的に決まるわけではないのです。
知的障害の診断が下りるには医師の判断が必要という前提を述べた上で、知的障害とIQの関係についてもう少し見ていきましょう。
世の中には知的機能が高い人もいれば低い人もいます。
知的機能の高い低いの差が、そこまで大きくないなら特に生活に困ることはありません。
しかし知的機能が周囲と比べて極端に低すぎたり高すぎたりすると日常生活に不便が出てくることがあります。
なぜなら社会は一番多い知的水準を「平均」として多数派に合わせて成り立っているからです。
この「社会は多数派に合わせている」という考えは結構重要で、「知的機能が低い=劣っている」という考えではなくどちらかと「知的機能が多数派と異なっている」というニュアンスの方が正しいと思います。
なぜななら世の中に絶対的な平均はなく、集団の中で相対的に決まるからです。そこに絶対的な優劣はありません。
平均と比べて知能指数がちょっと低かったり高かったりするくらいなら特に日常困ることはないでしょう。
しかしその程度があまりにも顕著だと集団生活に支障が出る場合があります。
例えば学校での一斉指導より個別指導のほうが勉強しやすいなどです。
知能指数が平均と比べて顕著に差があるというのは具体的にどのくらいの数値なのでしょう?
これがウェクスラー式におけるIQ70~85、あるいはそれ以下を指します。
例えばウェクスラー式の場合、
100人の人が知能検査を受ければおよそ7割の人がIQ85~115になるように問題設定されています。
IQ85~115がおよそ平均の範囲内となります。
そしてIQが70以下の数値になる人は全体の2.3%程度です。
ウェクスラー式の場合、IQ85~115が平均域、70未満が知的障害の可能性があり、70~85はどっちの可能性もあるグレーゾーンです。
このように、IQは知的機能の客観的な目安のひとつになりますが、それだけで知的障害の診断を可能にするわけではありません。
たとえばIQ69のAさん、IQ71のBさん2人のお子さんがいたとします。
仮に2人の特徴が全く異なるとしましょう。
Aさんは学校の授業を真面目に受けて、友人関係も良好。
Bさんは授業中すぐに立ち回りまったく集団行動をしない。
AさんよりBさんのほうがIQは高いですが、日常生活はAさんのほうがうまくいっていることが想像できます。
じゃあこのAさんに今から「知的障害」と診断をつけ、Bさんにはつけないという判断をすることに何か意味はあるのでしょうか?
このようにIQだけで知的障害の診断の有無を判断しても、現実には役に立たないことがあります。
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