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クーイング(非叫喚音)とは?|赤ちゃんの言語発達

公開日:2021年8月12日


 
 

クーイングとは?

 クーイングとは、定型発達において乳児に見られる独特の声の1つです。

 クーイングは「非叫喚音(ひきょうかんおん)」とも呼ばれます。
 文字通りクーイングは叫び声ではない音を指します。

 赤ちゃんが生まれてから最初に出す声は泣き声でしょう。
 そして泣き声は叫び声と考えられます。

 クーイング(非叫喚音)は赤ちゃんが初めに出す叫び声ではない音声です。

 
 
 

解説

クーイングの例

 クーイングは実際には「あー」や「くー」のように聞こえる柔らかな声です。
 元々は鳩の鳴き声に似ていることから「クーイング」という名称が使われています。

 クーイングは鼻音、つまり鼻から空気を通したような音の印象を受け、特にクーイングが見られる初期はこの傾向が顕著です。

 
 

乳児の口腔器官の構造

 クーイングが鼻音の性質を持つのは、乳児の発声は鼻腔共鳴を起こしやすいという構造に起因します。

 生後間もない赤ちゃんは、軟口蓋と喉頭蓋が接しています。
 このため鼻から器官への空気の通り道が常に確保されている状態です。
 これは呼吸をしながらの哺乳に役立ちますが、発声に鼻音の成分が伴います。

 このような構造は生後3か月以降から変化が見られ、徐々に大人と同じような構造に変化・発達していきます。

 
 

クーイングはいつからいつまで?

 クーイングは生後2か月頃から見られます。
 そして生後5~6か月頃には喃語の表出に伴いクーイングは減少していきます。

 
 

クーイングと喃語の違い

 クーイングと喃語はいずれも赤ちゃんが言葉を話す前段階と位置付けられます。
 しかしクーイングと喃語は異なるものであり、厳密にはクーイングは喃語に含まれません。

 クーイングは単発の発声です。
 喃語は多音節からなる言語様音声です。

 喃語は「ばぶー」など喉だけでなく舌や口も巧みに使い複数の音を出すことができますが、クーイングはこういった音の連続性がありません。

 
 
 

参考資料

『感覚器の成長・発達』(バイオメカニズム学会)2021年8月3日検索

『0歳児の言語習得と四肢運動の発達』(バイオメカニズム学会)2021年8月11日検索

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