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ICD-10とDSM-5の違い
病気や障害の診断にはある程度共通した基準が必要で、医師の勝手な判断では困ります。
診断基準の中で最も有名な二大巨頭はICD-10とDSM-5です。
ICD-10とDSM-5はどっちらも医学的診断を行う際の基準となる分類集です。
どちらも医療現場で広く使われる信頼性のある診断基準ですが、
ICD-10とDSM-5の違いは、
ICD-10はWHOが作っています。
そのためICD-10は無料で誰でも閲覧することができます。
一方、DSM-5はアメリカが作っています。
以下、もう少し詳しく。
ICD-10とDSM-5について
ICD-10とは?
国際疾病分類の頭文字をとってICD。
これの一番新しいバージョンがICD-10。
読み方は普通に「アイシーディーテン」と読みます。
ICD-10は世界保健機関(WHO)による疾病分類です。
日本に限らず国際的に広く使われている基準となります。
厚生労働省など日本の政府機関が採用している基準もICD-10です。
ICD-10は英語ですが原文をネットで閲覧できます。
外部リンク:ICD-10 Version:2016
まあしかし、英語が苦手な人も
「ICD-10」などでググる。
↓
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」のウィキペディアのページを見つる。
↓
一覧から調べたい疾患の番号を確認。
↓
ICD-10のウェブサイト内でその番号を検索。
↓
そしてブラウザを右クリックして日本語翻訳する。
で、だいたいの内容は読めるかと思います。
DSM-5とは?
「精神障害の診断と統計マニュアル」の頭文字をとってDSM。
その一番新しいものがDSM-5。
読み方はこちらも普通に「ディーエスエムファイブ」。
こちらも国際的に広く使われている基準。
DSM-5はアメリカ精神医学会による精神障害の分類です。
精神障害の分類に関する書籍なので、精神障害以外の疾患は扱っていません。
つまりDSM-5のほうがICD-10より範囲が狭いことになります。
DSM-5はアメリカ精神医学会が作った書籍なので、基本は無料で読めません。
実際に本を買う必要があります。
全部が載ってるのが2万円ちょっと。
診断基準のみ抜粋したバージョンが5千円くらいです。
ICD-10とDSM-5の実際
ICD-10とDSM-5もどちらも有名な診断基準であり、どちらも使っても間違いではありません。
一方で位置づけというか感覚としては、あくまで個人的にですが、
医療制度や医療事務的な現場ではICD-10を踏まえた考え方が、
発達障害や精神疾患を扱う医療従事者の間ではDSM-5
をよく耳にする印象を受けます。
これは先述のように
ICD-10が厚生労働省などが採用しているものであり、
DSMが精神障害の分類、つまり精神障害に焦点を当てた書籍であるからだと思います。
まとめ
以上のように、どちらも客観的な診断基準を調べる際には有用な情報なです。
違いをまとめると、
・ICD-10は国連、DSM-5はアメリカが作ってる。
・ICD-10はネットでも閲覧できる。DSM-5は本を買う。
・ICD-10のほうが扱っている範囲は広い。
・DSM-5のほうが新しい。
(ちなみICD-11ももうすぐ出るらしい・・・)
といった感じです。
個人的にはICD-10が親しみやすいかなあという印象です。
ネットで気軽に見れるのは便利ですし、国の省庁も使っているので。
あと、DSMは本を買うたびにアメリカ精神医学会の利益になっちゃってるところが「なんだかなあ」というのも個人的には。
参考資料
『ICD-10 Version:2016』2020年6月3日検索