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クレーン現象への対応
子供のクレーン現象をなくす・減らすためには、その子の言葉やコミュニケーションの発達をステップアップさせていく必要があります。
具体的には指差しなど、コミュニケーションの基礎となる力を獲得できるよう促していきます。
クレーン現象は認知的発達の不十分さからくるものであると考えられるので、無理矢理やめさせたり叱ったりしてどうにかなるものではないと考えられます。
解説
クレーン現象とは?
「クレーン現象」とは、他者の身体を道具のように使って自分の要求を達成する行為です。
この「道具のように」というのがポイントであり、クレーン現象を行う子は他者に自分の意図を伝えるという力が未熟です。
クレーン現象が見られる子には、道具を「操作する力」ではなく他者に「伝達する力」を経験してもらう必要があります。
意思伝達の目安
自分の意思を伝達する力がどのくらい身に付いているかは、クレーン現象の際の様子からもある程度わかります。
子供がクレーン現象をするときに、相手の顔を見ていなかったり手をずっと引っ張り続ける場合は対人意識が不十分です。
同じクレーン現象でも、相手の顔をちゃんと見ていたり、相手が動き出したら手を離してくれるなら対人意識の芽生えがあると言えます。
クレーン現象を減らす方法
クレーン現象の評価・程度の見極め
まずはその子のクレーン現象がどのような状況なのか評価する必要があるでしょう。
比較的クレーン現象を客観的に段階付けしている検査として精研式CLAC-Ⅱの項目があります。
以下のような5段階評価は、クレーン現象が減っているか・程度が軽くなっているかの目安になるでしょう。
- 自分でできるのに全て他人の手を使う
- 部分的に他人の手を使う
- 自分でやるように指示すれば自分でする
- 自分でできない場合に他人の手を使う
- 全くなし
以上を目安にその子のコミュニケーション面の発達状況を把握し、指差しの獲得を促していきます。
クレーン現象は指差しや文章での発話が獲得されると減少すると考えられています。
このため指差しの獲得は重要と考えられます。
指差しの獲得
参考資料
『発達障害児の「クレーン行動」に関する一考察 : 文献の展望と行動の観察例から』(一般社団法人 日本特殊教育学会)2021年9月15日検索
『精神発達遅滞児における意図的伝達行為の発達とその認知的前提に関する研究』(音声言語医学)2021年10月2日検索