クレーン現象

クレーン現象の評価と重症度の見方|発達障害児の支援

公開日:2021年12月6日


 
 

クレーン現象の評価

 子供のクレーン現象をより詳細に見る場合は、道具的使用の程度に着目します。

 具体的には視線を合わせたり相手の顔を見るのではなく手や対象物を見ている。
 あるいは、欲求が達成されるまで(相手に意図は伝わっているのに)手を引っ張り続ける。
 こういった様子の有無と程度を見ると有意義です。

 
 
 

解説

クレーン現象とは?

 「クレーン現象」とは、他者の手を道具のように使って自分の要求を達成する行為です。

 自分の欲求の達成のために他者の手を引っ張るなどの行為は、健常児においても少なからず見られる行為です。

 しかし相手の目を見て淡く手を引っ張るいかにも「手助けしてほしい」行為と、ひたすら対象物だけ見ながら相手の手を引っ張り続ける行為は質的には異なるでしょう。

 前者は「意図的伝達行動」であり後者は「意図的操作行動」と考えられます。

 クレーン現象は意図的操作行動の側面を持つ行為と考えられます。

 
 

クレーン現象の特徴

 このようにクレーン現象は意図的な「伝達」ではなく「操作」であり、冒頭のような特徴が見られます。

 欲求を達成するために相手の身体を用いますが、にも関わらずアイコンタクトが成立せず対象物ばかりに目がいっていることがあります。

 また相手に意図が伝わっても目的が達成するまで手を離しません。

 こういった行為の有無・強弱がその子のクレーン現象の強弱の評価につながります。

 
 

クレーン現象の評価

 日本特殊教育学会の論文によるとクレーン現象は言葉こそ有名なものの、その詳細評価の研究はあまり進んでいないのが現状のようです。

 そのような中で比較的クレーン現象を客観的に段階付けしている検査として精研式CLAC-Ⅱの項目があります。

 以下のような5段階評価は、クレーン現象の客観的評価として有意義でしょう。

  • 自分でできるのに全て他人の手を使う
  • 部分的に他人の手を使う
  • 自分でやるように指示すれば自分でする
  • 自分でできない場合に他人の手を使う
  • 全くなし

 
 
 

参考資料

『発達障害児の「クレーン行動」に関する一考察 : 文献の展望と行動の観察例から』(一般社団法人 日本特殊教育学会)2021年9月15日検索

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