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妊娠・避妊・性感染症予防に関する12~15歳の性教育
望まない妊娠や性感染症を回避するスキルを学ぶことも、性教育の一環です。
12~15歳を対象にした性教育では、
HIVをはじめとした性感染症に対する正しいリスク管理と、これらを実行できるコミュニケーションスキルを学びます。
性教育のエビデンス(科学的根拠)
国際的な流れとして、性教育は性行為に関する知識だけでなく、ジェンダー平等や性の多様性といった人権尊重を基盤にしたものが主流となりつつあります。
このような性教育を「包括的性教育」と言い、このガイドラインとしてユネスコによる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」があります。
上記を参考に、12~15歳を対象にした(人権尊重を含む)性教育について考えます。
学習の要点
妊娠・避妊について
- 意図しない妊娠を防ぐ効果的な方法と、それぞれに関連した効能について学ぶ(男性用・女性用コンドーム、低用量ピル、緊急避妊薬など)
- 意図しない妊娠につながる個人の脆弱性について学ぶ
- 正しく一貫して実行されれば、性交をしないことが意図しない妊娠を防ぐ効果的な方法になるということを再認識する
- コンドームの正しい使い方をはっきりと理解する
- 不妊手術は永久的な避妊方法であることを明言する
- コンドームや他の避妊具がその地域では一般的にどこで入手できるのか、若者による入手を何らかの障壁が困難にしている場合もあるのかを知る
- 性行為をしている若者は誰しも、婚姻状況やセックス、ジェンダーなどを理由に避妊具やコンドームへのアクセスを拒否されることはあってはならないと認識する
- 避妊具の情報源や供給源にアクセスする様々な方法を学ぶ
- 若すぎる出産や短すぎる出産間隔には健康上のリスクがあることを学ぶ
- 出産間隔を空けることの利点を学ぶ
HIVに対する理解について
- HIVの状態を理由に人を差別することは違法だと学ぶ
- HIVと共に生きる人も含め、全ての人は他者に性的感情や愛を表現する権利があることを再認識する
HIVを含む性感染症リスクについて
- HIVを含む性感染症の様々な感染経路(性的行為・妊娠・分娩・母乳育児・ウイルスが混入した血液の輸血・注射器・針・その他鋭利な器具の共有など)を理解する
- 性的に活発であってもHIVや性感染症に感染するリスクを軽減する特定の方法があることを学ぶ(一貫した正しいコンドームの使用、挿入性交の回避、 “お互いに決まった一人とのみ性的関係をもつこと” の実践、性的パートナーを減らす、同時に複数人との性的関係をもつことを避ける、性感染症の検査・治療を受けるなど)
- HIVや他の性感染症の感染がの高い特定の場においては、年齢差や世代差のある関係性が、HIVの脆弱性を高める可能性があることも知る
- セーファーセックスのために交渉し、安全でない性的行為を拒否するコミュニケーションスキルを学ぶ
- 正しいコンドームの使用手順をはっきりと示す
- 利用可能なHIV検査の種類と、それらの検査がどのように行われるかを知る
- VMMCと、それがいかに男性のHIV感染への脆弱性を減少しうるかについて学ぶ
- もしその地域で入手可能であれば、HIVへの曝露のおそれのある前後に、感染可能性を低減する方法としてPrEPとPEPがあることを知り検討する
- 全ての人が自発的に十分な情報を基に、プライバシーを守られながらの検査を受ける権利があり、またHIVの状態を開示する必要がないことを明言する
※セーファーセックスとは「より安全なセックス」という意味合いであり、具体的にはコンドームなどを使用した性感染症に配慮したセックスを指します。
※VMMCとは包皮環状切除のことを指します。
※PrEPとPEPとはHIVの予防となる内服薬です。もちろん、これらはあくまでリスクを低下させるものであり、完全に防ぐものではありません。
包括的性教育について
参考資料
『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(UNESCO)2021年5月2日検索
『HIV/AIDSについて(ファクトシート)』(厚生労働省検疫所)2021年12月18日検索
『PrEPって?』(国立国際医療研究センター SH外来)2021年12月18日検索
『抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)』(国立研究開発法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)2021年12月18日検索