BRIEF-Pとは?
BRIEF-Pとは、幼児期の実行機能に関する日常の行動評価尺度です。
実行機能に関する行動評価尺度である「BRIEF」の幼児版が「BRIEF-P」です。
BRIEF-Pは「Behavior Rating Inventory of Executive Function-Preschool Version」の頭文字を取っています。
解説
BRIEF-Pの意義
実行機能とは目標達成のために思考や行動を制御してくれる認知機能のことです。
実行機能は万人の生活において重要な能力の1つであるとともに、発達障害児においては実行機能に困難さを示す場合があります。
このため発達障害児の支援において実行機能は重要な要素の1つであり、実行機能を客観的に評価できるツールは大切です。
その人の実行機能を日常生活場面から評価できるツールがBRIEFであり、その幼児版がBRIEF-Pです。
実行機能の評価としてはBADSなども有名ですが、年少児への適用が難しい観点から、比較的幼い子にも対応できる「BRIEF-P」は重宝するツールの1つと言えます。
BRIEF-Pの対象年齢
BRIEF-Pは2歳0ヵ月~5歳11ヵ月を対象とします。
BRIEF-Pの日本語版
BRIEF-Pは完全には日本語化されておらず、国内での実施には慎重な解釈が必要と考えられます。
東京学芸大学の浮穴寿香氏らによってBRIEF-Pは翻訳され、定型発達児における平均点のデータはあります。
しかしASDおよびADHDの児への適用データが少なく、解釈のためのエビデンスが少ないのが現状です。
また項目数が63個あり比較的多く、このあたりの項目精査も氏は課題の1つと述べています。
何かと中途段階のBRIEF-P日本語版ですが、比較的低年齢の幼児から適用できる点、日常生活場面の問診にて実施できる点は興味深く、立ち位置としては今後の発展が望まれる検査の1つかと思います。
BRIEF-Pの内容
BRIEF-Pは各質問に対して
1: みられない
2: 時々みられる
3:よくみられる
の3段階で解答してもらいます。
先述のようにBRIEF-Pは実行機能のスクリーニングとしては完全な日本語化はできていません。
そのため各項目の定型発達児の平均点と比較し傾向をつかむ程度の使用にとどまるかと思います。
参考資料
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『日本語版 BRIEF-P の開発』(日本発達障害支援システム学会)2021年12月30日検索