フランカー課題とは?
フランカー課題とは、実行機能の特に抑制機能をみるための課題の1つです。
フランカー課題は3歳頃から年齢を重ねるごとの成績の上昇が一般的には見られます。
実行機能が幼児期に急速に発展していくことを示唆する実験の1つと言えます。
解説
フランカー課題の内容
フランカー課題は5つの並列した刺激の中で、中央の刺激が左右のどちらを向いているかは判断します。
例としては魚が5匹並んでいて、真ん中、つまり3匹目は右を向いているか左を向いているかを答えてもらいます。
呈示される5匹が全て同じ方向を向いていることもあれば、真ん中の魚が周囲の4匹と違う方向を向いている場合があります。
当然、真ん中だけが違う方向を向いているパターンの方が難しく、正答率に差がでてきます。
これらに対する反応を通して、実行機能における抑制機能を見ていきます。
シンプルなフランカー課題
子供に行う場合は魚など親しみやすい絵で行うほうが興味をそそるフランカー課題ですが、「<」といった記号で行う場合もあります。
<<<<<
>>>>>
<<><<
>><>>
のような4パターンをランダムに呈示する方法です。
これでもフランカー課題が意図する内容は押さえることができ、実施自体は記号を使うだけでも十分と言えるでしょう。
フランカー課題の成績上昇傾向
フランカー課題では3歳から4歳における成績上昇に統計的に有意な差が見られます。
つまり子供の実行機能は3歳から4歳にかけて発達してくことが考えられます。
また、6歳から8歳、8~13歳から4~15歳においても有意な差が見られます。
他の実行機能に関する課題と同様に、実行機能はおおむね幼児期に急速に発達し、その後は緩やかであるという傾向を示唆していると言えるでしょう。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索
『言語ラベリングが実行機能課題に及ぼす効果とその持続性-幼児期に着目して-』(京都大学学術情報リポジトリ)2021年12月4日検索
『子どものGO/NO-GO課題と生活調査 : 日本の1998年と中国の1984年を比較して』(信州大学 他 国立国会図書館デジタルコレクション)2021年12月30日検索
『「乳幼児の脳を「go/no-go 実験」から分析し,成人らしい「活発型」へと変化・成長させていく取り組み』(白梅学園大学・短期大学 学術リポジトリ)2022年1月9日検索
『小学生における高次神経活動の実態とそれに及ぼす生活状況の検討:go/no-go課題における誤反応数と型判定の結果を基に』(日本発育発達学会)2022年1月9日検索