【目次】 [close]
心の道具箱(Tools of the Mind)とは?
心の道具箱(Tools of the Mind)とは、アメリカで開発された幼児教育カリキュラムの1つです。
Vygotskyの理論を背景としており、子供の実行機能や非認知能力に着目している点が特徴的です。
解説
非認知能力や実行機能
近年は幼児教育においてIQ(知能指数)のような認知的能力だけでなく、それ以外の側面である自制心などといった非認知能力、およびそれと類似した概念である実行機能などが注目されています。
そしてこういった能力に対するアプローチとして有意義ではないかと考えられているものの1つが、心の道具箱です。
心の道具箱のエビデンス
心の道具箱のエビデンス(科学的根拠)は、有意義な研究結果もあるものの、まだ検証の余地があると考えられています。
研究によってはエビデンスの弱さについての指摘もあり、非認知能力を高める確立された方法とまでは言えないでしょう。
しかしながら、非認知能力や実行機能自体に関して興味深いアプローチの1つではあるので、知っておいて損はないカリキュラムと言えます。
心の道具箱の内容
心の道具箱における「道具」とは、「心理的な道具」を指します。
ハサミや鉛筆といった私達が一般的に思い浮かべる道具が「技術的な道具」であるのに対し、「心理的な道具」とは言葉や文字、それらを使った工夫などを指します。
例えば私達は「メモを取る」という行為を知り、それを習得することで通常よりもたくさんの情報を覚えて後から使うことができます。
心の道具箱のカリキュラムでは子供達が自分で計画を立てる力や自分をコントロールする力を遊びを取り入れた活動で促していきます。
具体的な活動内容については以下で複数挙げていきます。
主な活動内容
詳細な計画と描写のごっこ遊び(役割演技)
学習計画とチェック表
静止活動
カード対話
見守り先生ごっこ
書いて交流ゲーム
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『実行機能を高める「心の道具箱」(Tools of the Mind)の実践 小学校知的障害特別支援学級での取り組み』(福岡教育大学学術情報リポジトリ)2022年7月30日検索
『「心の道具箱」のカリキュラムは幼少期に自己調整力と学力を向上させる 』(龍谷大学研究部)2022年7月30日検索
『Tools of the mind』2022年7月30日検索
『Tools of the Mind という幼児教育プログラムについて(その1)』(思いつくまま気の向くまま・・・)2022年7月30日検索
『Tools of the Mind : Vygotskian approach to early childhood education / E. Bodrova, D.J. Leong.』(ResearchGate)2022年7月30日検索
『Tools of the Mind Getting to Know Us:Kindergarten』(3rd Grade Reading Success Matters)2022年7月30日検索
『幼児期の非認知能力と実行機能の関連における研究の現状と課題』(北海道教育大学学術リポジトリ)2022年7月30日検索