実行機能とは?
「実行機能(じっこうきのう)」とは、目的を達成するために自分をコントロールできる力のことです。
実行機能はIQ(知能指数)とはまた異なった角度で人間の能力を見ることができます。
このため教育分野や心理学、医療分野などで注目されています。
解説
実行機能の定義
実行機能の定義は研究者によって様々です。
例えば上越教育大学の論文などを参考にすると、実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」とされています。
つまり目的のために自分の考えや行動や気持ちをうまくコントロールできる力と言えます。
実行機能はなぜ大切なのか
実行機能はIQ(知能指数)だけでは説明できない人間の能力の1つです。
例えば「大学受験に合格したい」という目標があるとします。
このとき、一般的に頭の良さとされる「知能」は大切な能力の1つでしょう。
ただし、それだけでは大学には受からないかもしれません。
大学受験に合格するには、地道に受験勉強をする自制心や、試験当日までに試験範囲を網羅する計画性などが必要になっていきます。
このような力が実行機能です。
このため実行機能は簡単に言うと自制心や要領の良さであったりします。
実行機能の内容
実行機能はその内訳としていくつかの項目があります。
分け方は研究者によって異なりますが、以下の3つで実行機能は構成されているとする考え方が有名です。
- 抑制機能
(衝動を抑えて冷静に対応する力) - シフティング
(状況に応じて冷静に切り替える力) - アップデーティング
(状況が変わったことを把握しそれを踏まえて行動する力)
このように抑制・切り替え・更新の力が実行機能では重要な要素と考えられています。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
『知的障害児のプランニングと抑制機能の支援に関する基礎的・実践的研究』(東京学芸大学)2022年5月5日検索