数-文字課題とは?
数-文字課題とは、実行機能におけるシフティング(切り替え)の力を見る課題の1つです。
呈示された条件によって数か文字いずれかに着目せねばならず、課題に対する切り替えの力が必要とされます。
解説
数-文字課題の内容
上下2つの画面のどちらか一方に、数字と文字が一緒に呈示されます(例えば「3K」など)。
被験者は、上の画面に表示されたら数字が奇数か偶数か、下の画面に表示されたら文字が母音か子音かを答えます。
つまり同じ文字と数字でも表示される画面によって答えを変えなければいけません。
例の「3K」であれば、上の画面に表示されたときは「奇数」と答えなければいけませんし、下の画面に表示されれば「子音」と答えなければいけません。
実行機能の下位要素
実行機能はその内訳としていくつかの項目があります。
分け方は研究者によって異なりますが、以下の3つで実行機能は構成されているとする考え方が有名です。
- 抑制機能
(衝動を抑えて冷静に対応する力) - シフティング
(状況に応じて冷静に切り替える力) - アップデーティング
(状況が変わったことを把握しそれを踏まえて行動する力)
そして実行機能を見る際は、それぞれの下位要素に応じた課題を実施することが一般的です。
実行機能における数-文字課題の意義
冒頭で述べたように、数-文字課題は実行機能の下位要素であるシフティング(切り替え)の力を見ます。
実行機能の力を見る課題で有名なものにストループ課題があります。
ストループ課題とは例えば「赤」と書かれた青色の文字の色を答える課題です。
ストループ課題は文字と色が異なるため、色を答えないといけないのについつい文字を読んでしまいます。
このためストループ課題は実行機能における抑制機能を見る課題です。
一方で、数-文字課題は「数字」と「文字」でどちらが優勢な刺激ということもないので、抑制機能というよりは切り替えの力を求められます。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
『知的障害児のプランニングと抑制機能の支援に関する基礎的・実践的研究』(東京学芸大学)2022年5月5日検索