実行機能

実行機能と学業成績の関係|非認知的能力が小学校の成績に影響する?

公開日:2022年8月15日


 
 

実行機能と学業成績

 実行機能と学業成績には相関があるのではないかと考えられています。

 つまり幼児期の実行機能の高さが、小学校での勉強の成績に関連してくるのではないかということです。

 実行機能は国語や算数など様々な学業との関連が指摘されていますが、特に算数への影響が大きいと考えられています。

 
 
 

解説

実行機能とは?

 定義は諸説ありますが、実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」と考えられます。

 つまり実行機能とは目的のために自分の考えや行動や気持ちをうまくコントロールできる力と言えます。

 実行機能は「遂行機能」と呼ばれることもありますが、おおむね同義であり特に違いはありません。

 近年は教育現場において知能(IQ)とはまた違った力の指標である「非認知的能力」という概念が話題になっています。

 概念的に完全にイコールではありませんが、実行機能は非認知的能力に関連する力と言えるでしょう。

 
 

実行機能と小学校の勉強

 諸説ありますが、幼児期の実行機能が就学後の学業成績と相関していると考える研究は多いです。

 例えば4歳時点のワーキングメモリの高さが、7歳時点における算数の力と関係しているとする研究があります。

 また、5歳時点の抑制機能の高さが、1年後の国語や算数の成績の予測に役立つとする研究もあります。

 こういった見解は西洋諸国だけでなく、中国やインドなど各国の研究で見られます。

 幼児期における実行機能がその後の学業成績を予測するというのは定説になりつつあります。

 
 
 

参考資料

『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索

『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索

『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索

『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索

『言語ラベリングが実行機能課題に及ぼす効果とその持続性-幼児期に着目して-』(京都大学学術情報リポジトリ)2021年12月4日検索

『子どもの認知発達の指標として「うそ」をとらえる』(日本心理学会)2021年12月29日検索

『日本語版 BRIEF-P の開発』(日本発達障害支援システム学会)2021年12月30日検索

『子どものGO/NO-GO課題と生活調査 : 日本の1998年と中国の1984年を比較して』(信州大学 他 国立国会図書館デジタルコレクション)2021年12月30日検索

『「乳幼児の脳を「go/no-go 実験」から分析し,成人らしい「活発型」へと変化・成長させていく取り組み』(白梅学園大学・短期大学 学術リポジトリ)2022年1月9日検索

『小学生における高次神経活動の実態とそれに及ぼす生活状況の検討:go/no-go課題における誤反応数と型判定の結果を基に』(日本発育発達学会)2022年1月9日検索

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