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心の道具箱(Tools of the Mind)は児童にも有効か?
心の道具箱(Tools of the Mind)とは、非認知能力や実行機能を高めると考えられている幼児教育カリキュラムの1つです。
心の道具箱は特別支援教育においても有意義なアプローチになり得る可能性があります。
しかし作業記憶(ワーキングメモリー)へのアプローチが手薄になる傾向があるので、その点の補完が必要ではないかと考えられます。
解説
心の道具箱を活かした特別支援教育
福岡教育大学の論文によると、小学校の特別支援学級において心の道具箱のカリキュラムを導入したところ、実行機能の向上が見られたようです。
あくまで少ない症例に対して行ったものなのでエビデンスが確立されたといは言い難いですが、興味深い取り組みではあります。
心の道具箱を特別支援教育で行う場合の注意点
実行機能は幼児期に急速に発達し、その後は青年期でも穏やかな発達が見られると考えられています。
このように幼児期以降は以前ほど急速な発達ではありません。
心の道具箱による実行機能へのアプローチは、幼児期以降に行う場合は特に短期間では効果が得られにくい可能性があります。
心の道具箱を開発したアメリカにおいても、幼稚園における心の道具箱カリキュラムは少なくとも1年間は継続して行われています。
心の道具箱と作業記憶
先述の福岡教育大学の論文の症例では、実行機能と比べると作業記憶(ワーキングメモリー)の向上が見られなかったそうです。
心の道具箱カリキュラムを児童に取り入れる場合、作業記憶への影響は乏しく、並行して作業記憶に着目した対応・アプローチも必要になると考えられます。
心の道具箱(Tools of the Mind)とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『実行機能を高める「心の道具箱」(Tools of the Mind)の実践 小学校知的障害特別支援学級での取り組み』(福岡教育大学学術情報リポジトリ)2022年7月30日検索
『「心の道具箱」のカリキュラムは幼少期に自己調整力と学力を向上させる 』(龍谷大学研究部)2022年7月30日検索
『Tools of the mind』2022年7月30日検索
『Tools of the Mind という幼児教育プログラムについて(その1)』(思いつくまま気の向くまま・・・)2022年7月30日検索
『Tools of the Mind : Vygotskian approach to early childhood education / E. Bodrova, D.J. Leong.』(ResearchGate)2022年7月30日検索
『Tools of the Mind Getting to Know Us:Kindergarten』(3rd Grade Reading Success Matters)2022年7月30日検索
『幼児期の非認知能力と実行機能の関連における研究の現状と課題』(北海道教育大学学術リポジトリ)2022年7月30日検索