実行機能

朝の運動は子供の非認知的能力を向上させる?|GO/NO-GO課題における大脳活動の型の分析から

公開日:2022年4月4日


 
 

朝の運動は子供の非認知的能力を向上させる?

 日本体育大学などを中心とした調査によると、

 朝の身体活動状況がその日の午前中の高次神経活動に影響を及ぼすことが示唆されています。
 さらには10分間という短い身体活動でもその可能性があることのことです。

 
 
 

解説

非認知的能力の重要性

 人生において重要な能力は、IQ(知能指数)といった能力だけではない、ということは誰もがなんとなく感じていることではないでしょうか。

 近年の教育学ではこういった知能指数とはまた異なる、数値化されない力の重要性が注目されています。
 これら例えば自制心などを指しますが一律の定義が難しく、「非認知的能力」と言われたりもします。

 一方で、心理学の分野に目を向けると、古くから人間の能力において「実行機能」という能力が注目されています。

 実行機能とは、その人がその目標を達成するための、思考や行動を制御する認知システムを指します。

 非認知的能力と実行機能はイコールというわけではありませんが、共通する部分も多い概念かと思います。

 
 

実行機能におけるGO/NO-GO課題

 実行機能を客観的に評価する簡易的な課題の1つとして、GO/NO-GO課題というものがあります。

 GO/NO-GO課題とは、点灯されるランプの色とルールに基づきゴム球を握る・握らないを選択する課題です。

 GO/NO-GO課題は課題に対する誤答の仕方から、大脳活動の傾向を大きく5つの型に分けて評価します。
 その5つとは不活発型・興奮型・抑制型・おっとり型・活発型を指します。

 一般的に最も「興奮」と「抑制」のコントロールができていない型を不活発型としており、

 子供は最もコントロールができていない「不活発型」から次第に興奮が優位で子供らしい言動が目立つ「興奮型」へ、そして全体のバランスがとれる「活発型」へ成長していくと考えられています。

 
 

朝の運動と大脳活動の型

 以上のように、不活発型はそわそわ落ち着きのない言動がうかがえ、活発型はそれらが収まっている印象を受けるのが一般的なイメージです。

 日本体育大学などを中心とした調査によると、朝の身体活動が10分以上の群はそうでない群と比べて不活発型の子が少ない傾向があったそうです。

 「発散」というと平易ですが、朝の運動は高次神経活動に良い影響を与える可能性が示唆されています。

 
 
 

補足解説

GO/NO-GO課題とは?

 
 

評価方法と分類方法

 
 

大脳活動の型の解説

 
 
 

参考資料

『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『子どものGO/NO-GO課題と生活調査 : 日本の1998年と中国の1984年を比較して』(信州大学 他 国立国会図書館デジタルコレクション)2021年12月30日検索

『「乳幼児の脳を「go/no-go 実験」から分析し,成人らしい「活発型」へと変化・成長させていく取り組み』(白梅学園大学・短期大学 学術リポジトリ)2022年1月9日検索

『小学生における高次神経活動の実態とそれに及ぼす生活状況の検討:go/no-go課題における誤反応数と型判定の結果を基に』(日本発育発達学会)2022年1月9日検索

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