実行機能の側面
- クール(認知的)な側面
- ホット(情動的)な側面
実行機能を上記のような2つの側面でとらえる考え方があります。
実行機能がどのような要素で構成されるかは諸説ありますが、このクールな側面とホットな側面という考え方は比較的有名なものの1つです。
解説
実行機能にはどのような要素があるか
実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」と言えます。
もう少し簡単には「目的を達成するために自分をコントロールできる力」と解釈することもできるでしょう。
実行機能は1つで完結する機能ではなく、複数の要素で構成されているという説が有力です。
しかしながら、その具体的な要素、つまり下位概念については諸説あります。
比較的有名なものではMiyakeらによる共通実行機能と固有実行機能という分類があります。
そして上記とはまた違った角度・別の概念で、冒頭で述べたクール(Cool)な側面とホット(Hot)な側面があります。
これは文字通り、人間の目的達成には認知的な側面と情動的な側面が関わるという考えです。
クールな側面とホットな側面
クールな側面とは厳密には異なりますが要するに冷静な側面です。
ホットな側面とはこれも厳密には異なるでしょうが端的には感情的な側面です。
人が目的を達成するため、つまり自分をコントロールするためには認知的な力と情動をコントロールする力が必要と考えられています。
例えば健康のためにダイエットをしているとします。
このとき、目の前のケーキを食べたいけれど食べないという選択には自分をコントロールする力がいるでしょう。
ケーキに手を伸ばさずケーキを食べずに我慢するというのは自分の感情をコントロールする、つまりホットな側面の力が必要です。
これに加え、「健康であることは長期的に自分も得をするんだ」という理屈でケーキを食べないモチベーションにつなげることはクールな側面の力と言えます。
このように、自分のコントロールをトップダウン式に行っている機能が実行機能であり、その要素がクールな側面とホットな側面なのではないかと考えられています。
共通実行機能・固有実行機能とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索