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算数に関する認知モデル(McCloskeyら)とは?|子供の数概念の発達

公開日:2022年6月27日


 
 

算数に関する認知モデルとは?

 McCloskeyらによる「算数に関する認知モデル」とは、人が持つ数概念を「数処理メカニズム」と「計算メカニズム」の2つの要素で説明するモデルのことです。

 算数の認知を複数の要素で図式化することで、成人の算数障害や子供の数概念の獲得を考える上で役立ちます。

 以下、「数処理メカニズム」と「計算メカニズム」についてそれぞれとりあげます。

 
 
 

解説

数処理メカニズム

数詞の入力\   /数詞の出力
      数概念
数字の入力/   \数字の出力

 数処理メカニズムは、上図のように数概念を4つの経路として考えます。

 数詞とは「サン」と数を音として聞く・言う行為です。
 数字とは「3」と数を見る・書く行為です。

 つまり算数に関する認知モデルにおいて数概念は
 「数を聞く力」
 「数を見る力」
 「数を言う力」
 「数を書く力」
という4つの経路でとらえます。

 
 

計算メカニズム

  • 数的事実(足し算・引き算・かけ算・わり算)
  • 計算手続き(足し算・引き算・かけ算・わり算)

 一般的に「計算」は四則演算と言われる通り、足し算・引き算・かけ算・わり算の4つがあるかと思います。

 しかし算数に関する認知モデルにおいては上記のように「数的事実」「計算手続き」という要素でそれぞれ考えます。

 つまり以下のような8パターンの処理があると考えます。

数的事実(足し算)
数的事実(引き算)
数的事実(かけ算)
数的事実(わり算)

計算手続き(足し算)
計算手続き(引き算)
計算手続き(かけ算)
計算手続き(わり算)

 「数的事実」とは、頭の中でぱっと答えが出せる計算です。
 答えが20程度の簡単な足し引き、九九などが当てはまります。
 つまり暗記に近く「計算」と言えるほど頭の中で数を計算していないような内容です。

 「計算手続き」とは「数的事実」を超える範囲のまさに計算処理を行わないと答えを出せないような問題です。

 
 
 

参考資料

『小学1年生における計算学習の現状と課題 : 1年生の算数指導に関わった経験のある教員への質問紙調査と1年生への調査を通して』(植草学園短期大学)2022年6月3日検索

『数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考』(京都女子大学)2022年06月03日検索

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