言葉の先取りをしない
子供が言葉に詰まっているからといって、周囲がその子の言葉を先取りすることはあまり好ましいとは言えません。
言葉に詰まってしまったとしても、時間を要したとしても、その子がその子のペースでその子の言葉で話せることが大切です。
解説
長期的視点から見た言葉の先回り
例えば子供が「お、お、お……」と言葉に詰まっているときに「お茶が飲みたいの?」と周囲が言葉を先取りする状況が時折あります。
こういった言葉の先取りは、短期的には「周りが言ってくれて楽だった」と子供は感じるかもしれません。
しかしながら長期的に見れば、子供が自分で話す機会を失ってしまいます。
確かに自分が最後まで言葉を言わなくても相手が察してくれることは楽です。
しかし人は家族だけのコミュニティで生きていくわけではありません。
学校や会社など、いつか自分で自分から主張をしないといけないときがきます。
そういったときに、自分で最後まで言える経験を積んでおくことは大切なのではないでしょうか。
先取った内容が正しいとは限らない
言葉を先取りし、その内容が子供の意図と合っていればまだいいですが、実際は先取った言葉が子供の意図と異なる場合も少なくありません。
言葉の先取りにより会話を遮られ、しかも意図したことと違うことを言われては、子供もフラストレーションが溜まってしまいます。
「また最初から言わなくちゃ」という徒労感も伴うかもしれません。
いずれにせよ、子供の言葉は最後まで子供のペースで聞いてあげることが大切です。
先取りではなく繰り返しを
子供に限らずですが、話を聞くときは言葉の先取りではなく繰り返し(オウム返し)や相槌を行ったほうがいいでしょう。
相手の言葉を適度に繰り返すことで、相手は「ここまでは聞いてもらえた」「ここまでは理解してもらった」という安心感を得られます。
子供が言葉に詰まってしまったときは、言葉の先取りをしたり言い直しをさせたりせず、適度に繰り返しと相槌を打ちながら子供のペースで話を聞いてあげましょう。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索