吃音の支援・対応に大切な姿勢
吃音がある人と接するセラピストの場合、共感性・温かさ・誠実さが大切な姿勢と考えられます。
吃音は本人の精神面が大きく影響する障害ですので、相手の精神面を配慮した関りが大切です。
良い関係性・関りを持てることは、小手先の吃音軽減テクニックを教えることよりも効果的であったりします。
解説
共感性
吃音に限らず、悩みを持つ人に対して共感を示すことは大切です。
自分の感情を理解してもらい、自分の感情を言語化してもらうことは、悩みの軽減につながります。
特に吃音は感情(情動)との関りが強い障害であり、共感性のある対応は非常に重要と言えます。
また吃音は回避などにより一見すると症状が見られない人もいます。
そういった人の苦労や不安も察することが大切です。
安易に「どもってないから大丈夫」とするのではなく、相手の話を聞いて心の奥にある苦労や不安を話せる関係性を築いていきます。
温かい姿勢
人は他者に共感してもらうことで、自己肯定感を持てたり物事に対する意欲が湧くものです。
これらを行動につなげ、ポジティブな行動がさらに自己肯定感を育むという良い循環を作ることが大切です。
共感によって芽生えたポジティブな気持ちを持続・循環させるには、他者の温かな見守りが大切です。
誠実さ
相手に共感することは大切ですが、嘘をつくことは違います。
耳障りのいい言葉だけでなく、エビデンスに基づく事実を言うことも時として大切です。
長期的には誠実な姿勢が、相手のためにもなりますし信頼にもつながっていくでしょう。
特に「吃音は治らない」「訓練にも限界がある」という現実もあります。
こういったことを相手を思いやりながら誠実に伝えることも必要です。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索