獲得性吃音とは?
獲得性吃音とは、脳梗塞などの脳血管障害に伴って発症する吃音です。
吃音には獲得性吃音と発達性吃音の2種類がありますが、それぞれ特徴が異なります。
解説
獲得性と発達性
獲得性吃音とは、冒頭で述べた通り脳血管障害に伴って現れる吃音です。
一方で発達性吃音とはこういった疾患をきっかけとせず、主に2~4歳の頃に突然発症する吃音です。
一般的に「吃音」と言われるものの多くは発達性吃音を指し、獲得性吃音はどちらかというと少ない症例になります。
獲得性吃音の原因部位
獲得性吃音は主に前頭葉などの左半球が損傷されると見られますが、右半球が損傷されて発症するパターンも0ではありません。
このため獲得性吃音は脳の単一の場所の障害で発症するわけではなく、損傷の状況が複雑に絡み合って起こると考えられます。
また獲得性吃音は失語症との合併が比較的多いです。
獲得性吃音は発達性吃音よりも治癒率が低いとされています。
獲得性吃音の治癒率
獲得性吃音は脳卒中後に5.2%の確率で発症するとされています。
ただし6か月後にはその約半数が治癒するため、全体としては脳卒中者の2.5%ほどになります。
このため獲得性吃音は発症後約6か月で半数が回復する傾向にあると言えます。
獲得性吃音の特徴
発達性吃音が2~4歳頃発症するのに対し、
獲得性吃音は脳卒中や頭部外傷、認知症などに伴い発症します。
発達性吃音がどもりの9割が語頭に出現しますが、
獲得性吃音はどもる場所が語頭には限りません。
発達性吃音はどもる単語や状況に一貫性があります。
獲得性吃音は吃症状に一貫性が見られません。
発達性吃音は一貫性の観点から「どもるのではないか」という予期不安を当事者が感じやすいです。
獲得性吃音は予期不安はあまり見られませんが、一貫性なくどもるゆえの苛立ち(欲求不満)があります。
発達性吃音は歌などではどもらず、またある程度の適応効果があります。
獲得性吃音は歌などでもどもり、適応効果も見られません。
補足記事
参考資料
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索