映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」が2018年7月14日に公開されました。
原作の漫画も以前から評価が高かったようですね。
作品の「志乃ちゃん」は言葉がうまく出てこないわけですが、
これらの症状は専門的には「吃音」と考えられます。
「吃音(きつおん)」という言葉は知らない人からすると本当に聞き慣れない言葉ではないかと思います。
おそらく、「吃音」と書いて「きつおん」と読むことにも馴染みがない人も多いのではないでしょうか。
世代によっては、「どもり」という言葉の方が認知されているかもしれません。
昨今の風潮としてはあまり良い言葉ではないですが。
以下、吃音についてです。
吃音とは?
世界保健機関(WHO)の疾病分類であるICD-10によると、
吃音とは、音や言葉が頻繁に繰り返されたり、長くなったり、躊躇したり、一時停止したりして、リズミカルな話し言葉が阻害されることです。
吃音は治るのか?
吃音の原因は不明と言われていて、根本的な治療方法はいまだに確立されていません。
要するに、現代医学では吃音は完治させることはできないのです。
そのため吃音は「治す」というより、
吃音について本人と周囲が理解を深めてくことが吃音に対する取り組みの根幹になっていきます。
なぜなら、映画の中でもあるように、
吃音それ自体ではなく、吃音があるが故の過度の悩みや人間関係のとトラブルといった二次障害を起こさないことが非常に重要になってくるからです。
吃音の自然回復と男女差
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では言葉が詰まるのは志乃ちゃんですが、実社会では吃音者は女性より男性が多いです。
まず、吃音は2~4歳の子供の約5%に見られます。
そして吃音は発症後4年間の間に約74%の子が自然回復します。
性別でみると吃音は発症して3年で、
男の子は60%が自然回復、
女の子は80%が自然回復します。
そのため成人で見ると、
吃音の性差は「男:女=4:1」と男性のほうが多くなります。
吃音の特徴
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」でも取り上げられていますが、
・普段の会話は詰まってしまうのに歌ではスムーズ。
・特定の音が出てこない。(母音など)
・苦手な音も、何か別の言葉や音を先に言うとその勢いですっと言えることがある。
・緊張する場面や気を許した相手など、吃音の程度が状況によって変化する。
いずれも吃音者の中でよくみられる特徴です。
もちろん個人差はありますが。
ちなみに同じ吃音でも人によって重症度や進行状況は異なります。
吃音の進行程度を専門的には「進展段階」と言ったりします。
作中において初めてクラスで自己紹介をする時点の志乃ちゃんは、吃音症状や本人の精神状態もろもろ含めると、進展段階がけっこう進んでいるなあと考えられます。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索