発達性吃音の一貫性
発達性吃音の特徴に一貫性が見られる点があります。
一貫性とは、吃音の症状が発生する場所や言葉が一定している状態です。
一貫性は予期不安へとつながるため、吃音の支援において重要な視点の1つと言えます。
解説
発達性吃音と獲得性吃音
吃音は大きく「発達性吃音」と「獲得性吃音」があります。
「発達性吃音」とは2~4歳頃に発症することが多い、いわゆる先天的(?)な吃音です(厳密には先天的という表現は微妙ですが。ここではあくまでわかりやすくする意味で使っています)。
一般に「ことばの教室」や「発達相談」で相談の対象になる吃音はこの「発達性吃音」が多いでしょう。
「獲得性吃音」とは脳卒中や頭部外傷、認知症などに伴って発症するいわゆる後天的な吃音です。
発達性吃音と獲得性吃音にはいくつか異なる点があり、その1つが一貫性の有無です。
発達性吃音には一般的に一貫性が見られます。
一貫性と予期不安
吃音における一貫性を慎重に見ないといけない理由は、それが予期不安につながるからです。
現代医学において吃音は完治させる方法がありません。
このため吃音に対する現実的な支援としては、できるだけ軽度な段階をキープするということになっていきます。
吃音は症状が進行すると本人により精神的・身体的な負担を与えます。
できるだけ軽度の段階をキープし、「吃音の症状はあるかもしれないけれど、本人的には楽に話せて精神状態もいい」という状態を目指します。
このような目標において、「どもるかもしれない」と不安になる「吃音に対する予期不安」という状態は好ましくありません。
しかしながら当然、一貫性があるとどんな言葉でどもるか予想がついてしまうため、予期不安へとつながってしまいます。
発達性吃音に一貫性があるのは避けられない特徴でもあるので、吃音支援においては一貫性に対する理解と共感が求められます。
補足記事
参考資料
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索