吃音の解説

発達性吃音にはどもりの一貫性がありそれが予期不安へとつながることがある

公開日:2022年1月5日


 
 

発達性吃音の一貫性

 発達性吃音の特徴に一貫性が見られる点があります。

 一貫性とは、吃音の症状が発生する場所や言葉が一定している状態です。

 一貫性は予期不安へとつながるため、吃音の支援において重要な視点の1つと言えます。

 
 
 

解説

発達性吃音と獲得性吃音

 吃音は大きく「発達性吃音」「獲得性吃音」があります。

 「発達性吃音」とは2~4歳頃に発症することが多い、いわゆる先天的(?)な吃音です(厳密には先天的という表現は微妙ですが。ここではあくまでわかりやすくする意味で使っています)。

 一般に「ことばの教室」や「発達相談」で相談の対象になる吃音はこの「発達性吃音」が多いでしょう。

 「獲得性吃音」とは脳卒中や頭部外傷、認知症などに伴って発症するいわゆる後天的な吃音です。

 発達性吃音と獲得性吃音にはいくつか異なる点があり、その1つが一貫性の有無です。

 発達性吃音には一般的に一貫性が見られます。

 
 

一貫性と予期不安

 吃音における一貫性を慎重に見ないといけない理由は、それが予期不安につながるからです。

 現代医学において吃音は完治させる方法がありません。
 このため吃音に対する現実的な支援としては、できるだけ軽度な段階をキープするということになっていきます。

 吃音は症状が進行すると本人により精神的・身体的な負担を与えます。
 できるだけ軽度の段階をキープし、「吃音の症状はあるかもしれないけれど、本人的には楽に話せて精神状態もいい」という状態を目指します。

 このような目標において、「どもるかもしれない」と不安になる「吃音に対する予期不安」という状態は好ましくありません。

 しかしながら当然、一貫性があるとどんな言葉でどもるか予想がついてしまうため、予期不安へとつながってしまいます。

 発達性吃音に一貫性があるのは避けられない特徴でもあるので、吃音支援においては一貫性に対する理解と共感が求められます。

 
 
 

補足記事

 
 
 

参考資料

『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索

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