1. 吃音とは?
世界保健機関(WHO)の疾病分類であるICD-10によると、
吃音とは、音や言葉が頻繁に繰り返されたり、長くなったり、躊躇したり、一時停止したりして、リズミカルな話し言葉が阻害されることです。
要するに、言葉が詰まったりして上手く言えないことがあるわけです。
吃音によって本人が悩んでしまうことも当然ありますが、
周囲もどう対応したらいいかわからず悩んだり迷ってしまうことがあります。
家族や友人、学校や職場に吃音の人がいる場合、どんなことに気をつけたらいいのでしょう?
2. 吃音の基礎知識
吃音の人と接する上では、吃音に関する基本的なことを知っておいた方が何かと便利です。
先述の通り、吃音は流暢に話すことができない障害です。
吃音の根本的な治療方法はいまだに確立されていません。
吃音で重要なことは、
・いかに症状を軽減し、それを維持していくか
・吃音が理由でのいじめや差別といった二次障害を防止するか
という2点に尽きます。
吃音は男:女=4:1で男性に多いとされています。
吃音にはいろいろな症状がありますが、大きくは3つです。
①音を繰り返す「こ、こ、こんにちは」
②音を引き伸ばす「こーーーんにちは」
③音が停止する「こ、、、、んにちは」
また、詰まった言葉をなんとか出そうとして、身振り手振りが入ってしまったり顔が赤くなるといった身体症状が出る人もいます。
3. 基本的な対応
吃音を気にせず、気楽に自由に話すことで、結果としてその人の中の一番軽い吃音の程度を維持できます。
そのため周囲の配慮としては、
いかに気楽に話せる場の雰囲気を作れるかが大切になってきます。
吃音症状をからかったりしない。
これはすぐ思い付きますね。
また、上手に話そうと指導しないことも大切です。
吃音者にとってはプレッシャーだからです。
「言葉が詰まりながらでも話していいんだよ」と周囲が吃音を受け入れることが大切になります。
そのほか周囲が心がけることとして、
吃音者が言葉が詰まっても、それをすぐに代わりに言ってあげなくても大丈夫です。
例えば一緒に食事に行って、メニューを見ていて、
A「パ、、、」
B「パスタがいいんだね?」
というようにすぐに代わりに言ってあげると、吃音者は自分で話すことが億劫になってしまうかもしれません。
相手の言葉を待ってあげる。
でもそれをプレッシャーには感じさせない。
そんな周囲の雰囲気が大切です。
言うのは簡単でも、そういう人間関係を実際に築くのはなかなか難しいものですが。
4. まとめ
以上のように、
吃音のことを気にせず、いかに気楽に話せる雰囲気を作れるかが大切です。
「言葉が詰まっても、話していいんだ」と受け入れることが最も症状を軽くします。
自分の言葉で、自分のペースで、人とコミュニケーションをとることはとても尊いことです。
5. その他の記事
6. 参考資料
菊池良和『エビデンスに基づいた吃音支援入門』学苑社、2012年