吃音は遺伝するのか?
親が吃音者である場合、生まれてくる子供が吃音である確率は15%ほどと考えられています。
吃音は必ず遺伝するというわけではありませんが、遺伝の影響は少なからず見られるようです。
また吃音は遺伝的要因が7割、環境要因が3割と考えられており、吃音の発症は親の育て方の問題ではないという解釈が主流です。
解説
吃音の有病率
吃音は2~4歳児のおよそ5%が発症し、その後4年ほどかけて74%の子が自然回復していきます。
このため最終的には吃音の有病率は人口の1%ほどになります。
このように吃音という症状は発症しても全員が持続する・全員が消失するといった0か100かの症状ではありません。
その子の吃音症状が一過性のものなのか持続していくものなのかは、年単位の観察が必要と言えます。
吃音の遺伝
冒頭に述べた通り、親が吃音者であり子供にも吃音が見られるケースは15%ほどです。
通常の有病率は1%ほどですから、吃音の遺伝性は見られると考えられます。
吃音は遺伝を背景にした症状であり、現在は根本的な治療方法は確立されていません。
このため薬や手術、トレーニングなどで吃音を根本から治すことは困難と言えます。
子供に吃音が遺伝するということ
15%という数字が大きいか小さいかは人によって印象が異なるでしょう。
単純計算としては、子供を6~7人産んだ場合、内1人が吃音を持っている可能性があると考えられます。
吃音の性差
吃音は女性より男性の方が多く見られます。
吃音の自然回復は男児より女児のほうが多く、
成人の場合、吃音の男女比は4:1で男性のほうが多いです。
吃音のリスク因子
以上より、「家族に吃音者がいること」や「本人が男性である」場合、吃音の慢性化が全体の割合よりも高い可能性が考えられます。
吃音症状について長期的な視点を持ちたい場合は、家族歴の把握は大切と言えるでしょう。
補足記事
参考資料
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索