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吃音とソーシャルスキルの関係性
吃音の自覚症状について、重度と思っている人は軽度の人より自己主張能力が低い傾向にあります。
このため、吃音に対する本人の捉え方、周囲の理解、自己主張に関するソーシャルスキルトレーニングは吃音支援において重要になってくると考えられます。
解説
吃音に対する本人の捉え方
吃音に対する本人のネガティブな印象は、吃音の症状をより進行させてしまう場合があります。
ネガティブな印象は「吃音を隠す努力」につながっていきます。
この吃音を隠す努力が、「話す前の予期不安」「失敗の記憶・経験の反芻」「会話場面の回避や言葉の言い換え」などを招きます。
このように、吃音は客観的な症状だけでなく本人が自身の吃音をどう思うかという主観的な捉え方も非常に重要な要素になります。
周囲の理解
同様に、吃音は周囲の理解も大切です。
吃音は生まれながらの体質であり、本人の努力不足などではありません。
このため、何かをして「治す」ものではありません。
周囲が理解し「吃ってもいい」と本人が思える気楽な雰囲気が大切です。
自己主張に関するソーシャルスキル
自己主張に関するソーシャルスキルを見る児童用主張性尺度(ASC)を用いた研究によると、自覚的に吃音が重度と捉えている人はそうでない人より自己主張能力が低い傾向にあったようです。
吃音に対する本人や周囲の理解、自己主張に対するソーシャルスキルを学ぶ機会は大切と言えます。
自己主張というものは強すぎても人間関係のトラブルを招きますが、弱すぎたら自分自身がストレスを感じてしまいます。
適切に自己主張できることはソーシャルスキルの1つであり、これらを学ぶ機会を設け身につけることは大人になっても役に立つでしょう。
児童用主張性尺(ASC)とは?
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索