吃音(きつおん)とは会話において言葉が詰まったり繰り返したりしてしまう会話の流暢性に関する障害です。
以前は「どもり」と言われることもありましたが、差別用語的な意味合いもあり近年は「吃音」という名称が多く使われています。
吃音の重症度はその症状から4段階に分けられます。
一般に段階が上がるほど症状は進行しており本人の悩みも大きいとされます。
第1層
第1層は吃音の初期状態にあたり、本人は「どもっている」という吃音の自覚がないのが特徴です。
そのため吃音症状はあるものの、本人としては楽に話せている状態です。
繰り返し
「こここんにちは」など
引き伸ばし
「こーーんにちは」など
第2層
第1層の症状に加えて、
阻止(ブロック)
「こ、、んにちは」
随伴症状
話すことに関係ない身体の部分が動く。
手足が動く、顔が赤くなるなど
吃音の自覚あり
第3層
第1,2層の症状に加えて、
語の言い換え
言いにくい言葉を言いやすい別の言葉へ言い換えたりします。
一見うまく対処しているように思えますが、語を無理やり変えるため対人コミュニケーションに違和感が出てきます。
予期不安
「どもるかもしれない」と話すことに不安を感じるようになります。
第4層
第1,2,3層の症状に加えて、
回避
話すことをやめてしまったり、人と話す場を避けることです。
吃音が嫌だ。どもることが怖いという感情
第4層は「回避」症状があるため、一見すると吃音が軽減したように見られます。
しかし実際は吃音対するネガティブな感情がピークになり、本人の負担がもっとも大きいのが第4層です。
言いたいことが言えない。人と話す場に行けない。
コミュニケーションに影響が出ています。
吃音は70%が遺伝や体質、30%が環境要因が原因と考えられています。
つまり育て方の問題で吃音になるわけではないということです。
ちなみに吃音者の割合では人種が違ってもほぼ同じになっており、世界中で共通して見られる症状です。
吃音は2~4歳の子供の約5%に見られます。
さらに吃音は発症後4年間の間に約74%の子が自然回復します。
そのため吃音の有病率としては人口の1%前後と考えられます。
吃音は発症して3年で、
男の子は60%が自然回復、
女の子は80%が自然回復します。
そのため女の子が自然回復の傾向は高いです。
しかし家族が吃音者である場合、そうでない場合よりも子供の吃音の回復率は悪いです。
そのため成人で見ると、吃音の性差は「男:女=4:1」と男性のほうが多くなります。
親が吃音である場合、子供に遺伝するのかどうか。
親が吃音である場合に子供も吃音である確率は15%と言われています。
吃音はあくまで会話の流暢性の障害です。
他の疾患と合併することはありますが、
吃音単独で知的障害やその他の発達障害を伴うことはありません。
また、吃音があるからと言って口や舌の形に異常があるわけではありません。