吃音は会話の流暢性が障害された状態です。
会話の流暢性を阻害する症状の中で、
吃音独自の症状を「吃音の中核症状」と言います。
補足記事:吃音の中核症状の種類
その一方で、うまく話せなかったり流暢に話せないことは吃音でない人にも少なからずあります。
吃音でない人にも見られる、会話の流暢性を阻害する症状を「非流暢性」と言います。
吃音者の会話のしにくさは、「中核症状」と「非流暢性」から成るわけです。
今日は「非流暢性」の症状を見ていきます。
語句が繰り返される症状です。
「わたし、わたしは佐藤と言います」
「なすと、なすとトマトのパスタをお願いします」
語句の一部ではなく語句がまるまる繰り返されます。
「わた、わたしは佐藤と言います」
「な、な、なすとトマトのパスタをお願いします」
など一部の音を繰り返すのは中核症状になります。
文字通り言い間違いです。
読み間違いや音の誤りです。
「わたす、わたしは佐藤と言います」
「なすととまた、トマトのパスタをお願いします」
吃音は本人の意図とは異なり非流暢になってしまう状況です。
つまり言いたいようにしゃべれないのです。
言い間違いに関しても、
言おうと思ったことと違った言葉が出てしまったという状況が症状判別のポイントになります。
吃音の非流暢性症状における「言い間違い」とは、
本人が誤りを修正したときのみカウントします。
修正がなかった場合は、そもそも本人が勘違いしていて言おうと思ったことをその通りに言っただけの可能性があるので症状としてはカウントしません。
文節としては成立している部分を言い直した場合です。
言い間違いとの違いは、
言い間違いは文節的にも不自然で、
言い直しは文節的には間違っていないところです。
「わたす、わたしは佐藤と言います」は言い間違いです。
「私」を「わたす」と誤っているからです。
「わたしが、わたしは佐藤と言います」は言い直しです。
「わたしが」というのは後の文脈次第では成立するからです。
文脈とは関係のない言葉が入ってくることです。
吃音者に関わらず、誰しも経験があるでしょう。
「えーっと、わたしは佐藤と言います」
文節などが未完全に終わってしまうことです。
「こん、わたしは佐藤と言います」
(「こんにちは」と言おうとしてやめた)
語句の間に不自然な間があることです。
「わたしは佐藤と 言います」
ちなみに似ている症状として、
中核症状の「阻止(Bl)」と「とぎれ(Br)」があります。
阻止(Bl)はしゃべろうとする運動が完全に停止します。
語句の中でも起こります。
とぎれ(Br)はBlと異なり完全には停止しません。
間(Pa)は語句と語句の間で起こり、語句の中は該当しません。
「わた しは佐藤と言います」は阻止かとぎれであり、間ではありません。