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結婚や親になることに関する12~15歳の性教育
性教育では単に性に関する知識だけでなく、望まない妊娠や性感染症、性的虐待などから自身を守るリスク管理を学ぶことも大切です。
そして本格的に性に対する関心が芽生え始める中学生頃、12~15歳の性教育では大人になれば結婚や親になることについて責任が自身に伴うことも指導します。
性教育のエビデンス(科学的根拠)
国際的な流れとして、性教育は性行為に関する知識だけでなく、ジェンダー平等や性の多様性といった人権尊重を基盤にしたものが主流となりつつあります。
このような性教育を「包括的性教育」と言い、このガイドラインとしてユネスコによる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」があります。
包括的性教育では3段階目の年齢である12~15歳の時期において、大人になるに向けての責任や意思決定の示唆が含まれています。
学習の要点
社会での責任について
- 成長とは、自分と他者に対する責任をとれるようになることを意味する
- 成長する中で生じる、自分と他者に対する新たな責任を学ぶ
- 成長するにつれ自分の世界や感情は家族の枠を超えて広がり、友人や仲間が非常に重要になることを認識する
思春期の親子関係について
- 親/保護者との衝突や誤解があることは、特に思春期では当然であり、たいていそれらは解決できるということを認識する
- 親/保護者との衝突や誤解を解決する方法を考えてみる
人間関係と感情について
- 人間関係の様々な形を学ぶ
- 友達は他者の行動にポジティブにもネガティブにも影響を与えうることを認識する
- 友達からネガティブな影響を受けることを防ぐ方法を学ぶ
- 愛情、友情、夢中になるといった感情と、性的魅力を感じることを区別する
- 親密な人間関係が時としてどのように性的なものになるのかを考えてみる
- 様々な人間関係の形に伴う感情を、うまく扱う方法を考える
非差別や多様性について
- 力の不平等や差異がいかに恋愛関係やその他の人間関係にネガティブな影響を及ぼすかを学ぶ
- ジェンダー規範やジェンダーステレオタイプがいかに恋愛関係に影響を及ぼすかを再認識する
- 人の性と生殖に関する健康と権利におけるスティグマや差別がもたらすものはどんなものか学ぶ
- 包摂、非差別、多様性の重要性を認識する
- 包摂、非差別、多様性の尊重のために声を上げることの大切さを学ぶ
結婚や親になることについて
- 良好な結婚や長期の関係性の主な特徴について学ぶ
- 大人が親になる様々な方法を知る(意図した/意図しない妊娠、養子縁組、里親、生殖技術の使用、代理親など)
- 親の責任を列挙する
- 全ての人が親になるかならないか、なるのであればいつなるのかについて、本人が決めるべきであることを認識する。またそれらは障害の有無に関わらないことも認識する
- CEFMや意図せずに親になることは有害であることを認識する
- もしCEFMや意図せずに親になることに悩んだ際にサポートを受ける方法を学ぶ
※CEFMとは児童・早期・強制婚を指します。
包括的性教育について
参考資料
『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(UNESCO)2021年5月2日検索
『HIV/AIDSについて(ファクトシート)』(厚生労働省検疫所)2021年12月18日検索
『PrEPって?』(国立国際医療研究センター SH外来)2021年12月18日検索
『抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)』(国立研究開発法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)2021年12月18日検索