子供と見る、あるいは子供に見せることを想定した検閲的レビューです。
適宜ネタバレも含みますのでご了承ください。
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デスノート(DEATH NOTE)は子供向けか?
デスノートは「ノートの名前を書かれた人物は死ぬ」という設定とストーリーから、子供に見せることがはばかられる風潮があります。
物語の受け止め方は人それぞれですが、個人的に1巻から最終巻まで読んだ印象としては、
デスノートは子供が読んでもいいのではと思います。
確かに複雑な心理戦や、死を扱う煽情的なテーマはやや対象年齢の高さをうかがえます。
しかしデスノートの内容が「青年誌」相当かと言えば疑問があり、あくまで「背伸びをした少年誌」の域を出ないのではと考えます。
デスノートの解説
作風の解説
「このノートの名前を書かれた人間は死ぬ」
端的でありながら非常に興味を惹かれる設定を持つデスノート。
デスノートは少年ジャンプの連載された漫画であり、その後にアニメや実写など様々なコンテンツに広がっていきます。
ノート1冊をきっかけに繰り広げられる心理戦は当時のジャンプ作品の中でも異色の作品だったのではと思います。
「世の中を良くするために人を殺すのはありかなしか」といった難しいテーマを背景に、心理戦を繰り広げるデスノート。ジャンプ作品の中でも「大人な」作品になるのではと思います。
実は倫理的配慮がなされているデスノート
デスノートはダークヒーロー、ダークファンタジーの作品であると言えます。
しかしながら、少年誌に連載されていた作品ということもあり倫理的な配慮がなされている作品であるとも言えます。
ネタバレになりますが、
主人公である夜神月は、ノートを使った殺人を全否定された後に敗北し、命を落とします。
この結末には賛否両論ありますが、いずれにせよ、動機はどうあれ人を意図的に殺した人物がハッピーエンドにならないような配慮がされています。
性的な描写はほぼない
死などの過激な内容に並んで、子供に漫画を見せる上で大人が躊躇する要因に性的描写が挙がるのではないでしょうか。
デスノートは、性的描写はほぼない作品です。
この点は子供がデスノートを読む際に安心な点の1つかと思います。
一部、操作のために女性を監禁するシーンがありますがこちらもかなり配慮がなされていることが読んでみるとわかります。
グロテスクな描写も思ったほどではない
死を扱うことが多いデスノートですが、ノートに書かれた人間が良くも悪くもあっさりと死ぬという展開上、意外とグロテスクなシーンは少ないです。
このあたりは少年誌に掲載されていたゆえの配慮もうかがえます。
まとめ
以上のように、「名前を書くと死ぬノート」という設定から敬遠されがちなデスノートですが、内容としては深く、子供が読んでも差し支えないのではと考えます。
過剰にグロテスクな描写や性的なシーンはなく、「死」というテーマを哲学的に考えさせてくれるきっかけになるのではと思います。
また、デスノートに影響されて殺したい人をノートに書く遊びが一時期社会問題になりました。
しかしながら、どんな作品もそれをそのまま受け止めてはいけないわけで、フィクションと現実の境界を設けることが大切なのはどの作品も一緒です。
過度に刺激の強い作品はいけませんが、そうでないものであれば、作品に触れないことよりも作品に触れても大丈夫な価値観を教育することが大切だと思います。
デスノートは「過度に刺激が強い作品」とまでは言えず、ある程度分別をつけながら子供が楽しんでもいい作品ではと思います。
参考資料
『少年コミック誌』(雑誌広告ドットコム)2020年7月1日検索