子供と見るあるいは子供に見せることを想定した視点でレビューします。
適宜ネタバレも含みますのでご了承ください。
君の名は。は子供に見せても大丈夫か?
万人向けに描かれている「君の名は。」は、表現の配慮もあり親子で見ても安心な作品だと思います。
しかしSF的なトリックを盛り上がりの中心に置いた本作は、たとえば幼児期や小学校低学年の子には少し退屈かもしれません。
作品の解説
「君の名は。」の大ヒットにより有名になった監督の新海誠氏。
新海誠氏はもともと解釈が分かれるような見る人を選ぶ作品を作ることが多いです。
そんな新海誠氏の作品においてかなり万人向けにわかりやすく作られた作品が「君の名は。」です。
身体が入れ替わった高校生達が互いの存在を探るというストーリーの中で、クライマックスに影響する伏線が張られています。
見る側の先入観を利用して伏線を張ることを「叙述トリック」と言いますが、
「君の名は。」は叙述トリックを楽しむ作品と言えます。
ゆえに「ああ、そういうことか」と伏線を理解できないと物語を本当の意味で楽しめないため、そのあたりの理解力が必要とされます。
大人であれば「君の名は。」の伏線の理解は容易と思いますが、低年齢の子には少し難しさもあるかもしれません。
以下、「性的な表現」「暴力的な表現」「反社会的な表現」「過激な思想の表現」の有無といった観点から「君の名は。」を考えていきます。
表現や描写の解説
性的な表現
「君の名は。」は高校生の男女の体が入れ替わるという現象により物語が進行します。
このため冒頭で入れ替わった体に興味を示すというシーンがありますが、描写としては穏やかであるため子供の視聴にそれほど差支えはないと考えます。
暴力的な表現
SF的なトリックを取り入れながら高校生男女の恋愛を描く本作は、特に暴力的なシーンはほぼありません。
反社会的な表現
本作には穀物を口の中で発行させて作る「口噛み酒」が登場します。
この口噛み酒を主人公である未成年の男の子が飲むというシーンがあります。
つまり一見すると未成年の飲酒シーンがあります。
しかし本作に登場する口噛み酒はアルコール度数が非常に低く酒税法の対象にならないという解釈もできます。
いずれにせよ主人公が口噛み酒を飲むのは物語において自然な流れとなっており、何か反社会的な言動を促すようなメッセージ性があるわけではないと思います。
ちなみにこの口噛み酒を女子高生が噛んで作ることで売れるのではないかという話が冗談として交わされるシーンがありますが、こちらはヒロインから即座に否定されます。
言語・思想関連の表現
「君の名は。」は高校生男女の恋愛を描く作品であるため、言語・思想関連において尖ったメッセージ性があるわけではありません。