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遠城寺式乳幼児分析的発達検査の結果の解釈
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は結果をグラフに記載することでその子の発達の程度と凹凸を客観的に評価することができます。
また各問題の合格・不合格が訓練方針の検討にも役立ちます。
おおむね合格項目に隣接する不合格項目が次の訓練目標となるでしょう。
以下、遠城寺式の結果の解釈の仕方について挙げていきます。
解説
カットオフ
遠城寺式はあくまでスクリーニング検査相当の簡易的な検査であり、厳密なカットオフ値はありません。
しかしながら目安としては、
いずれの項目についても実年齢より3ないし4段階下回った場合は病的遅滞があると考えられます。
グラフの凹凸
遠城寺式は各項目の結果を用紙左側のグラフにまとめることで、対象児の簡易な発達プロフィールを作ることができます。
当然ながら、
グラフの点が実年齢より上であれば発達は優れ、下であれば遅れている可能性が予想できます。
グラフの線が横にまっすぐ(水平線)に近い形であれば発達のバランスはとれ、凹凸や傾斜があれば不均一であることが考えられます。
脳性麻痺児への適用
脳性麻痺児に遠城寺式を適用した場合、運動面は遅れが目立ち、言語面は理解面に比して発語が遅れている傾向にあります。
また結果より麻痺が上肢に顕著か下肢に顕著かも評価できるでしょう。
定型発達児への適用
遠城寺式は定型発達児においても発達の状態を評価でき、子育てや教育に役立てることができます。
あくまで傾向でしかありませんが、(一人っ子などで)過保護な親の子の場合、「手の運動」「言語面」が優れていることに比して「移動」「対人関係」「基本的習慣」が遅れている場合があります。
再実施に頻度
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は複数回の実施が可能なような書式となっています。
一定の間隔を空けて再評価を行うことで、対象児の発達の経過を客観的に記録することができるでしょう。
再評価時期の目安としては、乳児であれば4か月後、それ以後なら6~8か月おきに実施するのが妥当と考えられます。
遠城寺式乳幼児分析的発達検査の解説(全体のページ)
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧