粉ミルクを使わず母乳だけで赤ちゃんを育てることを完全母乳なんて言ったりしますね。
完全母乳による育児は、医学的に何かメリットがあるのでしょうか?
1. 母乳のメリットって?
完全母乳による医学的なメリットはなんでしょう?
完全母乳を行うと、お子さんの感染症リスクが軽減し、アレルギーのリスクがあるお子さんについてはアレルギーの予防効果があります。
以下、これらの根拠をみていきます。
また、親御さんによっては完全母乳での育児が難しい場合もあるでしょうから、その場合の対応に役立つ知識も含めながら。
2. 完全母乳の効果
子供の栄養摂取に関する信憑性のある情報として、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドがあります。
上記によると、生後6カ月間を完全母乳で育てた場合、粉ミルクを併用した場合と比べて
・消化器感染症の減少
・母体の再妊娠の遅延
・母体の体重減少促進
などの影響が見られたそうです。
一方で、完全母乳と粉ミルク併用では、アレルギーの発症率や体重の増加率には差がないそうです。
3. 子供のアレルギーに関して
アレルギーに関してはちょっとややこしいので補足です。
子供のアレルギーの発症リスクについては家族歴が影響してきます。
家族歴とは「その疾患になったことのある家族がいるかどうか」ということです。
つまり家族にアレルギーの人がいるかどうかですね。
完全母乳と粉ミルク併用を比較すると、
家族歴があるお子さんについては完全母乳のほうがアレルギーの発症を予防できます。
具体的には生後6カ月までを完全母乳で育てると、5歳までの喘息やアトピーといったアレルギーの予防効果があります。
一方で、家族歴がなく、アレルギーのないお子さんでは完全母乳でも粉ミルク併用でもアレルギーの発症率に差はありません。
4. まとめ
以上のことからまとめです。
国としては生後6カ月までの完全母乳育児を推奨しています。
その背景には母乳の摂取によってお子さんの消化器感染症のリスクが軽減されるからです。
また、母体の体重減少も促進されるようです。要するに太りにくい。
一方で、完全母乳の方が次の妊娠が遅れる可能性があります。
「2人目不妊」なんて言葉も聞かれる昨今ですから、このへんは夫婦で計画的に。
まあ、生後6カ月以内に次のお子さんを授かりたいというご夫婦はそんなに多くはないでしょうが。
と、いろいろ書きましたが母乳の分泌量は人によって様々なので、状況に応じて臨機応変に対応しましょう。
ちなみアレルギーの予防効果だけに関して言えば、母乳とアレルギー用ミルクは効果に差がないのであまり母乳にこだわりすぎず、自分の母乳の出具合に合わせていきましょう。