構音の解説

【子供の滑舌】まずは音の意識をつけていこう

公開日:2017年6月5日

「アイス」が「あいちゅ」になるなど、子供は発音が稚拙な時期が必ずあるものです。

お子さんの多くは自然と日本語の発音の仕方を身につけていきますが、
口の動かし方が不器量だったり癖がついたりすると、適宜発音練習が必要になる場合もあります。

補足記事:子供の発音は何歳まで様子を見て、何歳から練習させたほうがいいのか?

発音の練習ときくと
「『あいちゅ』じゃなくて『アイス』よ。『あ・い・す』」
のように正しい音を言って聞かせて言わせてみる方法がまず考えられるでしょう。

正しい練習の仕方はもう少し段階を分けて行いますが、
いずれにせよこれらは苦手な音の発音を直接的に練習する方法です。

しかしながら、このような方法は、日本語の音の意識がきちんとできていることが前提になります。
日本語の音の意識ができていないといくら発音練習をしても効果がありません。

「ちゅ」と「す」という音があって、「アイス」は「す」。
あなたは「す」が「ちゅ」になってるんだよ。
これらの説明がわからないと発音の練習ははかどりません。
そしてこれらをわかるためには音の意識が必要です。
 
 
 

音の意識

 
日本語の場合、「アイス」という言葉は
「あ」と「い」と「す」という3つの音から成り立っています。

「あ」の次にくるのが「い」で、その次が「す」。
この順番で「アイス」という単語はできています。

このように、
言葉を正しく把握するためには、音の構成と順番がわからないといけません。

これは字が読めるということとはまた別です。
どちらかというと耳と認知の能力になります。

「アイス」と聞いて
「あ」と「い」と「す」だなと感覚でわかるということです。

この能力があるからこそ私達は言葉の音をつなげたり分解したりできるのです。
しりとりなどの多くの言葉遊びは、この音の結合と分解能力を使った遊びです。
 
 
 

音の意識の発達

 
子供は言葉を話し始めたときに最初から音の意識があるわけではありません。

子供は1,2歳頃から言葉を話し始めますが、
「アイス」と言える子供であっても、
「あ・い、次は?」と問うと答えられません。
これらができるのは4歳前後です。

音の意識は4歳前後からついてきます。
そのため5歳くらいになるとしりとり遊びや「『あ』のつく言葉は?」の類のクイズができはじめます。
 
 
 

音の意識の能力(1)

 
先ほど書いた通り、音の意識にはまず構成する音の数を正しく把握することが必要です。

ただし「しゃしゅしょ」など小さい「やゆよ」や小さい「っ」は読み書きなどができるようになってからでOKです。
これらを耳での聞き取りだけで説明することは難しいので。

「アイス」は「あ・い・す」
「スイカ」は「す・い・か」
など正しく音の数を把握できるよう目指しましょう。

ちなみにここで言う「音の数の把握」とは、必ずしも「『アイス』は3文字」と数を言えるということではありません。
「アイス」を「あ・い・す」と正しいところで区切って言えるかということです。

それが慣れてから「音は何個?」などステップアップします。

「みかん」など「ん」が入る言葉は最初のうちは難しいです。
「ん」は日本語の中でも聞きもらしやすい音なので。
 
 
 

音の意識の能力(2)

 
正しい音の数がわかりつつ、音の順番にも気を配ります。

1~3文字だと順序の入れ替わりは少ないかもしれませんが、
5文字や6文字など長い単語になってくると音の順序があやふやになるかもしれません。
 
 
 

音の意識の能力(3)

 
音の数も音の順番も把握できてら、今度は
音を抜き出せるようになりましょう。

「アイス」の
最後の音は?
最初の音は?
真ん中の音は?

順番をバラバラに聞いてもわかるようにしていきます。

はじめは短い単語から、次第に長い単語にしていきます。
 
 
 

音の意識の能力(4)

 
音を充分に抜き出せるようになったら、今度は
音から言葉を連想できるようにしていきます。

「あ」がつく言葉は?(アイス)
「い」がつく言葉は?(椅子)

慣れてきたらもう少し難しく、

「あ」で終わる言葉は?(ドア)
「い」で終わる言葉は?(運動会)

「あ」が入る言葉は?(コアラ)
「い」が入る言葉は?(階段)

などいろいろな聞き方をしてみます。
ここまでくるとあとは応用になります。

「あ」のつく3文字の言葉は?
など聞いてみたり、しりとりをしていいでしょう。

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