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数の保存の概念とは?
心理学における「数の保存」とは、ピアジェ(Piaget)が提唱した認知発達の特徴の1つです。
数の保存とは、その物の並びや容器を変えても量自体は同じであるという概念です。
数の保存はピアジェの認知発達段階においては具体的操作期に獲得されると考えられています。
解説
「数の保存」の内容
対象を取り去ったり加えたりしない限り、対象の数は変わりません。これが数の保存の概念です。
例えばコップの水を別のコップに移しても、(水がこぼれない限りは)中の水の量は同じです。
例えば、均等に並べられた複数個のみかんを乱雑に並べても、個数自体は変わりません。
密集しておかれた本も間隔を空けて並べられた本も、冊数が同じであれば冊数自体に多い・少ないはありません。
このような概念は大人が聞くと当たり前のように感じますが、子供は成長する中で獲得していきます。
数の保存は私達の物理的な世界を認識するためには重要な概念です。
数の保存とピアジェの認知発達段階
数の保存はピアジェの認知発達段階における「具体的操作期」に獲得されると考えられています。
具体的操作期は定型発達において7歳~11歳ないし12歳頃に相当し、おおむね学童期と重なります。
具体的操作期とは文字通り具体的な物に関する性質の理解が深まっていく時期です。
事物に対する順序付け・対応付けが可能になる時期です。
こうして具体的な事物についての理解が深まっていくことで、論理的推論や数量的思考が可能になっていきます。
数の保存の概念も具体的操作期の力の1つと言えるでしょう。
子供の数の保存の概念の理解度を確認する場合は、ピアジェが行った数の保存課題が興味深いでしょう。
また数の保存の概念の獲得過程は、細かく見ると後述するような複数の段階があります。
数の保存の概念の評価
数の保存課題
数の保存の発達段階
ピアジェの認知発達理論とは?
参考資料
伊藤朋子、椎名乾平(2013)『デザインと心理学の架け橋』(心理学評論刊行会)2024年10月26日閲覧