【目次】 [close]
構音の定型発達
発音のことを医学的に「構音(こうおん)」と言います。
日本語の構音はおおむね幼児期に完成します。
つまり小学校に入学する前までには日本語の発音がほぼできているわけです。
しかしながら、構音はある時期に一気にできるようになるものではありません。
構音の完成はその音によって時期が異なります。
以下、歯学博士である湧井豊氏の著書を参考に、構音の完成時期を考えます。
構音の完成時期の目安
3歳頃までにほぼ言えるようになる音
・タ行、ダ行
・ナ行
3歳頃に出始める音
・ヤ行
・マ行
・バ行、パ行
・カ行、ガ行
・「にゃ・にゅ・にょ」
・「ちゃ・ちゅ・ちょ」
・「じゃ・じゅ・じょ」
・「みゃ・みゅ・みょ」
・「びゃ・びゅ・びょ」
・「ぴゃ・ぴゅ・ぴょ」
・「わ」
3歳~3歳5カ月頃に出始める音
・「きゃ・きゅ・きょ」
・「ぎゃ・ぎゅ・ぎょ」
・「ひ」
3歳6カ月~3歳11カ月頃に出始める音
・ハ行
・「し」
・「しゃ・しゅ・しょ」
4歳~4歳6カ月頃に出始める音
・サ行、ザ行
・「つ」
・「ひゃ・ひゅ・ひょ」
4歳6カ月以降に出始める音
・ラ行
構音の傾向
人は生まれてから1歳頃になると単語を話し始めます。
そして2歳頃には「まんま たべる」などの2語文を言えるようになってきます。
生まれたばかりの赤ん坊は声を元気に出します。
そして次第に「あいうえお」、つまり母音を発音できるようになっていきます。
その後、上記のように段階的に音のレパートリーが増えていきます。
傾向として、サ行の音やラ行の音は難しい音です。
また、同じサ行であっても、
「し」と比べて「さ・す・せ・そ」は難しい傾向があります。
一方で、同じタ行であっても、
「つ」は「た・ち・て・と」より難しい傾向。
このように、同じ行であっても一概に難易度が同じかと言えばそうでもないわけです。
構音訓練について
先述の通り、日本語の構音はおおむね幼児期に完成します。
しかし、滑舌の不器用さや口腔形成に問題があると、適齢期になっても構音が難しい場合があります。
その場合は医療機関などで発音練習を適宜行ったほうが望ましいです。
発音練習のことを構音訓練と言い、これは言葉のリハビリの分野に該当します。
適齢期を過ぎてもお子さんの構音が難しい場合は、医療機関に相談に行ってもいいかもしれません。
参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年