さ行が言えない子への対応
「さかな(魚)」が「ちゃかな」になるなど、
さ行の音が言えない子に対して
「『ちゃ』じゃなくて「さ」よ。ほら言ってみて」と
ただやみくもに指摘するのはあまり有意義ではありません。
子供の発音を効率良く改善したい場合、
もう少し段階を踏んだ対応が必要です。
サ行の音の解説
サ行の音は(一部例外もありますが)
舌先と上の歯で隙間を作って出す音です。
つまり、
舌先が上の歯につきそうでつかない音です。
舌先が上の歯についてしまうと、空気の流れが変わってタ行の音になります。
サ行の音の発音には、舌先の繊細なコントロールが必要です。
この塩梅を練習しないまま、やみくもにサ行の音を言おうとしてもなかなか難しいものです。
サ行の音を出すためには、まずは舌先の運動のトレーニングを行います。
例えばストローなどを
「上の歯」と「舌先」で加えます。
その状態を崩さないまま、
ストローから空気を出します。
これがサ行の発音に必要な空気の流れになります。
サ行の音の出し方
サ行の音を出す場合、「す」の音から始めることが多いです。
これは先ほどの「サ行に必要な空気」から「す」の音へ移行が比較的しやすいからです。
「サ行に必要な空気」を出しながら、そのあとに「う」を言います。
今度は「サ行に必要な空気」と「う」の間隔を少し短くします。
だんだん短くしていき、最後は「サ行に必要な空気」と「う」をほぼ同時に言います。
すると「す」の音になります。
この「サ行に必要な空気」、
つまり「上の歯」と「舌先」の隙間から空気を出すことを音声学的には「s」とされます。
そして「う」は「u」です。
「す(su)」は、上の歯と舌先の隙間から空気を出す「s」と、「u」の音の組み合わせです。
そのためまず「s」の空気を練習して、そこから「u」をくっつけて「su」にすることで「す」が言えるようになります。
おわりに
以上のように子供がサ行の音を言えない場合は、基本となる空気の流れを練習していきます。
サ行であれば「s」の部分です。
このステップをやらずに
「『す』って言ってみて」を繰り返しても子供も嫌になってしまいます。
子供が話すことを嫌にならないためにも、
発音の練習は段階を踏んで少しずつ、
お子さんの「できた」という実感を大切にします。