世の中には暗黙のルールがあります。
アスペルガー症候群や発達障害を持つ人にとってはこの暗黙のルールを気づき理解することが難しい場合があります。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)において暗黙のルールを理解することは重要です。
【シチュエーション】
人はいろいろな人と接する機会があります。
人との接し方はそのシチュエーションにより変わります。
そして意識してほしいのは、
人はシチュエーションによって接し方を変えているということです。
あなたがあんまり変えていないだけで、周りは変えているのです。
そのことを知ることから始まります。
あなたと話している人が、いつも本音とは限りません。
同じ質問でも時と場合によって違う答え方をします。
時と場合によって違う対応をします。
【店員さん】
人間関係には様々なシチュエーションがあります。
外出した際のお店の人とのやりとりも広く見れば人間関係でありコミュニケーションの場です。お店の人と上手くやりとりすることも大切なソーシャルスキルのひとつです。
そしてお店の人というのは接し方を普段(プライベート)と最も変えている状況の一つです。
【横柄になるな】
店員さんに対して横柄な態度をとってはいけません。
「こっちは金払ってるんだから」といった態度はいけません。
金さえ払えば何してもいいわけではありません。
人間関係はそんな簡単な物々交換ではないのです。
店員と客という立場であっても、人と人という前提は変わらないのです。
きちんとありがとうを言いましょう。
すみませんと素直に謝りましょう。
相手が嫌だと思うことはしないでください。
【立場が違うだけ】
あなたの言動に対してお店の人は基本的に否定をすることはありません。
肯定したり褒めたり敬意をはらったりします。
でもそれはあなたが正しいからではなく相手が仕事でやってるからです。
相手はあなたに気を遣っているのです。
あなたが選んだ服が必ずしも似合っているとは限りません。でも店員さんは「似合ってない」とか「ダサい」とか言いません。
あなたの食事マナーが変でも、店員さんは指導しません。
あなたがお店の予約をして遅刻しても怒りません。でも内心あきれていますし迷惑だと思っています。口に出さないだけです。
【クレームではなく次から行かなければいい】
だから店員さんいクレームを言ってもしょうがないのです。
店長や社長でもないその人にクレームを言ってもしょうがないのです。
一人の平凡なお客さんであるあなたが「店長呼んで」とか言っても面倒に思われるだけなのです。
お客と店員さんは本音をぶつける関係ではないのです。
お店の雰囲気を大切にして感じのいい時間を過ごすための関係なのです。
だからクレームなんて言わなくていいのです。
「どこがおいしい」とか「○○のほうがサービスがよかった」とかそういうことは言わなくていいのです。周りの雰囲気まで悪くなります。
その場は感じのいいお客さんでいて、次から行かなければいいだけの話なのです。
自分の好みにお店や店員さんを変えようとしてはいけないのです。
【へりくだりすぎもNG】
店員さんに横柄な態度をとってはいけませんが、逆にへりくだりすぎもNGです。
店員さんに違和感を与えます。
食事をもって来てくれたらテーブルに置いてもらえばいいのです。
テーブルが広い時は受け取るぐらいはしてもいいですが。
席を立って店員さんのところへ行くまではしなくてもいいのです。
車のディーラーや保険会社など担当がつくようなお店の場合、名刺をもらうこともあるでしょう。
名刺をもらったからって自分のことをぺらぺら話したりする必要はありません。聞かれれば答えるくらいでいいです。自分の名刺も準備しなくていいです。
ブランドの洋服店などでは、お店の出口まで買った物を持って見送ってくれる場合があります。
店員さんはみんなにそうしているのです。だから「いえ、自分で持ちます」なんて言うのは野暮です。
そういうときは「ありがとうございます」と感じ良く言って出口で受けとってお店を出ればいいのです。
【ほどよい塩梅で】
お店の人には敬意を払って接しましょう。
けれどへりくだりすぎもいけません。
ほどよいバランスが大切です。
【あくまで店員と客】
お店での人間関係はあくまで「店員」と「客」です。
プライベートなことを聞きすぎてはいけません。
あなたはたくさんいるお客さんのひとりでしかないのです。
プライベートなことは相手が聞かれたら答えるくらい。
相手が家族構成のことを聞いてきたら自分も少し聞いてみるくらい。
相手が話すレベルに合わせましょう。
<その他の暗黙のルール>
【暗黙のルール辞典】世の中には、こんな「暗黙のルール」があるんだよ。