存在論的カテゴリーとは?
「存在論的カテゴリー」とは、端的には存在の特徴に着目したカテゴリー分けの概念です。
例えば「椅子」は具体的で「個別性のある」物と言えます。
これに対し「水」というものは漠然としており「個別性のない」ものと言えます。
多くの人は「椅子・コップ」という組み合わせよりも、「椅子・水」という組み合わせのほうがカテゴリーが違う気がするでしょう。
これは「椅子」と「水」の存在論的カテゴリーが異なるからです。
解説
存在論的カテゴリーの定義
「存在論的カテゴリー」とは、「世界の概念を組織づける際の最も基本的な区分」と考えられています。
つまり存在論に基づくカテゴライズは、人間が物事を分類する力を支える概念と言えるでしょう。
存在論的カテゴリーにおいては、個別性の有無は1つのポイントです。
例えば「水」「クリーム」「砂」などは「個別性のない」ものと言えます。
対して「鉄」「プラスチック」「発砲スチロール」といったものは「個別性のある」ものと言えます。
このため存在論的カテゴリーに着目した場合、「水・クリーム・砂」と「鉄・プラスチック・発砲スチロール」は異なるカテゴリーと言えます。
これは感覚的にも理解できるのではないでしょうか。
前者(水・クリーム・砂)は漠然ととらえどころない物質であり、後者(鉄・プラスチック・発砲スチロール)はより具体的な物としての印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
存在論的カテゴリーの影響
存在論的カテゴリーは、語彙獲得における概念的制約と考えられています。
つまり人間が言葉を獲得するために存在論的カテゴリーが影響しているということです。
存在論的カテゴリーは、子供の言葉の発達を考える上でも興味深い概念と言えるでしょう。
以下、言語発達の側面を踏まえた存在論的カテゴリーについて見ていきます。
存在論的カテゴリーによる概念的制約
参考資料
小林春美(1999)『個別性のある材質名称の獲得の程度と「存在論的カテゴリー」の影響 : 4歳児と6歳児の比較』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年10月19日閲覧