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カテゴリーを表す言葉の教え方
前回までのページで、以下の点について述べてきました。
- なぜ子供(幼児)はカテゴリー理解が難しいのか
- 子供はどのような段階を経てカテゴリーを理解していくのか
- カテゴリーの理解を促すにはどのようにしたらいいのか
これらを踏まえ
子供にカテゴリーを教える際の具体的方法と対象、その効果の傾向を見ていきます。
解説
同じ絵を2枚提示する
同じ絵を2枚用意し、基礎カテゴリーと上位カテゴリーを分けて学習する方法があります。
例えばまったく同じでいいので犬の絵カードを2枚準備します。
「これは『犬』だよ」と教えてからテーブルに置くなどし、もう1枚の方を提示して「これは『動物』だよ」と伝えます。
「犬が『犬』であり『動物』でもある」二重性ゆえのわかりにくさを、カードを分けることで緩和してあげます。
「どっちも同じじゃないか」と子供が言ったらそれはそれで良いことです。
「そうだね。これは『犬』でもあるし『動物』でもあるんだよ」と教える機会となるでしょう。
日本教育心理学会の論文によると、
同一の事例を提示するこの方法は、4歳児の自然物のカテゴリー(動物や野菜)で効果があったようです。
別の基礎カテゴリーを提示
基礎カテゴリーが同じもので複数事例を挙げ、上位カテゴリーを学習する方法があります。
例えば柴犬とチワワの絵カードを提示し、「犬」、「動物」など階層的カテゴリー理解の前段階を促します。
この方法は4歳児の自然物と人工物のカテゴリーで効果が見られたそうです。
人工物とは、「乗り物」や「楽器」などのカテゴリーです。
上位カテゴリーの特徴を強調
上位カテゴリーの特徴を強調し、理解を促す方法があります。
例えば何もしていない柴犬の絵、走っているチワワの絵などを提示します。
走っているほうがより動物的で、上位カテゴリーをイメージしやすくしています。
この方法は4歳児・5歳児の自然物・人工物の双方のカテゴリーに効果があったそうです。
ちなみにこの方法は人工物のカテゴリーでより効果を発揮したそうです。
同じ上位カテゴリーの別の事例を提示
同じ上位カテゴリーの別の事例を提示する方法もあります。
例えば犬とライオンと猫をセットで提示して、「動物」という上位カテゴリーをイメージしやすくします。
この方法は、5歳児の自然物カテゴリーと、6歳児の人工物カテゴリーの理解に効果が見られたそうです。
ちなみに、この方法は自然物のカテゴリーでより効果を発揮したそうです。
子供のカテゴリー理解と発達の解説
参考資料
『SITUATED UNDERSTANDING OF HIERARCHICAL CATEGORIES AMONG PRESCHOOL CHILDREN(幼児による階層的カテゴリーの状況的理解)』(日本教育心理学会)2023年5月29日閲覧