育児・教育コラム

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事物分類制約とは?|子供の言葉の発達と認知的制約

公開日:2023年10月27日


 
 

事物分類制約(じぶつぶんるいせいやく)とは?

 「事物分類制約」とは、新しい言葉を聞いたときその言葉が同じカテゴリーにも使えることが感覚的にわかることです。

 「類制約」「分類学的制約」などとも呼ばれます。

 例えば私達は「犬」という言葉を覚えた際、「チワワ」にも「ゴールデンレトリバー」にも「犬」という言葉を使ってもいいことがなんとなくわかります。

 事物分類制約は、子供が言葉を覚えていく際に必要な、生得的に有する認知的制約の1つと考えられています。

 
 
 

解説

事物分類制約の意味

 事物分類制約は、その言葉が同じカテゴリーの事物に拡張して使用できることを理解するのに役立っています。

 事物全体制約は人間が生まれながらに持っている認知的な特性の1つです。

 私達が「犬」という言葉を初めて覚えたとき、「チワワ」にも「ゴールデンレトリバー」にも「犬」という言葉が当てはまると考えるのはある意味で「先入観」とも言えます。
 しかしこの先入観によって人は言葉の理解・獲得をスムーズに行うことができています。

 事物全体制約は、人の生得的な認知的制約の1つです。

 
 

事物分類制約の例

 例えば「スマホ」という言葉はiPhoneにもアンドロイドにも適用できる言葉です。
 iPhoneの新型が出るたびに、「これはスマホなのか?」と考える人は少ないでしょう。
 多くの人は家電量販店で始めてみる機種でもそれが「スマホ」なのかわかります。

 事物分類制約は、子供が言葉を覚えていく上で重要な原理の1つです。

 事物分類制約がなければ、人は新しい言葉を知るたびにその言葉がどの範囲まで適用されるのかを逐一確認しないといけません。

 もちろん、「『いちご』は『野菜』なのか『果物』なのか」といった分類に迷う言葉もありますが、それでも大部分のカテゴリー分けを私達が瞬時に済ませることができているのは、事物分類制約という認知的制約のおかげと言えるでしょう。

 
 
 

言語発達における認知的制約の種類

 
 
 

参考資料

『日本の子どもの初期の語彙発達』(日本言語学会)2023年9月30日閲覧

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