以前、発達障害のお子さんに関わる仕事をしていた経験から、発達障害について考えていきたいと思います。
「この子は伸びるなぁ」と思うとき
発達障害児のお子さんの支援を「療育」と言ったりします。
療育には様々な発達障害のお子さんが訪れます。
「言葉が苦手」どころか、
まったく言葉が出ていないお子さんもいます。
しかしながら、
今どのくらいのことができるかとは別に、
「今は言葉が少ないけれど、この子は伸びそうだなあ」と思うときが度々ありました。
そう思わせる子の共通点はなんなのかと言えば、
発達障害のお子さんと関りを持つ経験を重ねると、
たとえ言葉が出ていなくても、その子の目を見ると今後この子がどのくらい言葉が出るかがなんとなくわかるようになってきます。
お子さんによって、「目」が全然違うのです。
「伸びるなぁ」と思う理由
語彙や文法理解などの知識・知能もさることながら、
言葉の発達に欠かさせないのは、他者との相互性です。
他者を認知し他者とコミュニケーションをとりたいという意識こそが言葉を発達させると思います。
これをもう少し掘り下げると、
他者にどれくらい興味を持てているか、
外界にどのくらい意識を向けているかということになります。
言葉が出ていないお子さんでも、視線が他者と合うお子さんとそうでないお子さんとではその後の発達の経過が異なるように感じます。
他者との視線だけではありません。
周囲の見方や目の前のおもちゃへの見方、
こちらが視線を向けたとき、
こちらが話をしているとき、
こちらが笑いかけたとき。
こういった様々な状況の中でお子さんの視線や表情がどのように変化するか。
「伸びるなぁ」と思うお子さんは、視線に他者への意識や期待が向けられています。
具体的な働きかけの方法
言葉の発達を促すには、まずはお子さんが他者と興味を持って関われることが大切です。
そういう関係作りが、言葉を教える「勉強」よりも先になります。
おもちゃを一緒に遊んだり、一緒に何かをしたりします。
例えばままごとのおもちゃをお子さんへ手渡すとき、こちらをしっかり見ているかを観察します。
こちらが物を渡す時間をわざとゆっくりとじらして、お子さんがそこで期待しているか待てているかを見ます。
そのように、
一人で完結しない遊びをやっていきます。
おわりに
子供の発達は個人差がありますし、上記はあくまで個人の感想です。
しかし発達障害に関わったことがある人なら、大なり小なり心当たりがあるのではないでしょうか。
特に幼児期のお子さんの場合はこの他者との相互性を促すことが重要であり、こういったやりとりの練習がのちの集団生活にも活かされていくと思います。