TEACCH(ティーチ)とは自閉症スペクトラム障害(ASD)の方に対するアプローチ方法の一つです。
今日はTEACCHについてです。
TEACCHは、
「Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children」
の頭文字をとったものです。
日本語だと「自閉症およびそれらに関連するコミュニケーション障害のある子供たちの治療と教育」といったところでしょうか。
TEACCHは1970年頃、ノースカロライナ大学のエリック・ショプラー氏によってはじまりました。
上記の通り、TEACCHは「自閉症児の支援」という割と漠然とした定義です。
TEACCHはもう少し噛み砕くと、「『あれはダメ』『これはダメ』と健常者の型にはめるのではなく、自閉症の特性を活かした支援をしましょう」ということです。
具体的には、
構造化を行うことがTEACCHの主なアプローチとなります。
構造化とは、「伝える側が期待していることをわかりやすく伝えるための方法」とされています。
例えば物理的な構造化。
勉強するスペースと遊びのスペースを分けることで活動内容をわかりやすくします。
さらにスケジュールの構造化。
今は何をするか。そのあとに何をするかを明確にし、活動の見通しを立てます。
また、スケジュールだけでなく、何をどのような手順でどのくらいするのか。
そういったワークシステムも明確にします。
そしてこれらをルーティーン化することで、発達障害を持つお子さんがわかりやすく安心して活動できるように配慮します。
このように、構造化は概ね「見てわかりやすいようにする」という視覚的構造化を度々用います。
もっと詳しく:構造化とは?
さらに、TEACCHでは環境だけでなく、コミュニケーション面にも配慮します。
表情絵やカードを使って自分の気持ちを伝えたり
絵を使って相手の心情を考えたり、
自分の感情に気づけるよう振り返る時間をとったり。
発達障害の特性を配慮しながらコミュニケーション方法を考えます。
TEACCHという概念は広いですが、いずれにせよ、「その人の特性を尊重する」というスタンスです。
これは発達障害に限らず、私達が他者と関わる上で大切な考えなのではないでしょうか。
こうあるべき。
こう思わない人はおかしい。
私が正しい。
多数派が正しい。
一つの枠組みで考え、それに他者をあてはめることは時として互いのためにならないものです。
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【参考文献】
佐々木正美、小林信篤『TEACCHプログラムによる日本の自閉症療育』学研、2008年