神戸大学の西村和雄氏の論文、「基本的モラルと社会的成功」が興味深いです。
この論文は
4つの基本的なモラルを親から教育された子供はそうでない子供と比べて将来の所得が64万円多いという内容です。
子供の教育、とりわけ「しつけ」に関しては何が正しくて正しくないのかなかなか判断が難しい。
今日は子供の「しつけ」に関して論文を参考にしつつ、教育学・心理学的な所見を加えながら考えていきます。
基本的なモラルの1つは「嘘をつかない」ことです。
嘘をつかないということは信頼関係を築く上で大切です。
しかし子供に嘘をついてはいけないとただ丸暗記させていは効果がありません。
大切なのは、なぜ嘘をついてはいけないのかということを教えることです。
それはつまり、
正直に話すことの大切さを教えることでもあります。
嘘をつかれた人はどんな気持ちになるのか。
正直に話してくれたら相手はどう感じるのか。
そういうことを親は子供に伝えるべきです。
それと同時に、
子供は成長する中で自然と「相手を傷つけないための嘘」を自らつけるようになります。
そんなときに親はすぐに嘘を否定せず、子供の気持ちを最後までしっかり聞いて受け止める姿勢が必要になります。
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2つ目のモラルは「ルールを守る」
「ルールを守る」ことも「嘘をつかない」ことと同様、なぜそうなのかをきちんと説明する必要があります。
親がわかっていると思っていることも、子供は意外とわかっていないものです。
学校で廊下を走ってはいけないのは、「先生に怒られるから」ではありません。
「本来走ること想定していない場所で走ることは、他の人にぶつかって自分や相手が怪我をする可能性があり危ないから」です。
幼稚園の年長さん以降は、ルールを丸暗記ではなく理由も含めて理解できるだけの知能が身についてきます。
親子でルールについて話す時間を設けることはとても大切です。
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続いてのモラルは「他人に親切にする」
他人に親切にするとはつまり利他的な行動をとれるかということです。
他人に興味を持ち、他人の心情を想像し、他人に配慮するというのは簡単なようで難しいものです。
なんでもかんでも相手にほどこしYESマンではそれは親切とは言えません。
大切なのは自分でしっかり考えることです。
利他的な行動をとりつつ、自分自身も大切にできるバランス感覚を身につけることが大切です。
最後のモラルが「勉強をする」
「勉強をする」姿勢は、時として「勉強ができる」ことより大切であったりします。
「勉強する」ということは、
物事に先行投資ができるということです。
忍耐力が必要ということです。
自分で自分をコントロールできるということです。
先行投資の大切さを理解し物事をやり抜けることは、人生を通して役に立ちます。
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【引用・参考サイト】
『基本的モラルと社会的成功』2017年10月18日検索