構音の解説 育児・教育コラム

子供が「さしすせそ」が言えないのはダメなこと?

公開日:2018年8月1日

 
 

 
 
 

1. 「さしすせそ」が言えないのはダメなこと?

「さしすせそ」の音、つまりサ行の音ががうまく発音できないお子さんはけっこういるものです。

サ行の音に限らずですが、
発音は「口腔機能」や「日々の習慣」が大きく関わってきます。

自然と正しい音を出せるようになるお子さんがいる一方で、間違った発音の癖がついたままになるお子さんもいます。

そして年齢が高くなればなるほど間違った音の修正は難しくなります。

特定の音が発音できないことは、成長過程で誰にでもあることです。
けれど、発音が身に付くことが遅くなりすぎるのも親としては心配なところです。

保育園(幼稚園)の年中さん半ば、あるいは5歳以降になっても「さしすせそ」がうまく言えない場合は医療機関の受診をすると安心です。

以下、これらの根拠を見ていきましょう。
 
 
 

2. 「さしすせそ」が言えるのは何歳?

言語発達の専門家である言語聴覚士の本間慎治氏によると、
サ行の音は5歳前後に習得される音です。

つまり2歳や3歳頃は「さしすせそ」が言えなくて当然なわけです。

そして4歳頃から早い子は徐々に「さしすせそ」が言えはじめ、5~6歳頃には「さしすせそ」が言えるお子さんが多数派になります。

このように、成長過程で自然と発音が完成するお子さんが多いわけですが、適齢期になっても発音ができないお子さんがいるのも現状です。

適齢期を過ぎても明らかに発音ができていない状態を「機能性構音障害」と言ったりします。

「障害」と言うとちょっと大げさでショッキングに感じますね。

しかし診断名があることで医療機関で健康保険を使って子供の発音練習をしてもらえるという制度的なメリットがあります。
 
 
 

3. 医療機関での発音練習ってどんな感じ?

子供の発音練習は、医療的にはリハビリの分野になります。

発音練習は医学的には構音訓練と言います。

流れとしては、まず医師による診察があり、発音練習の必要性があると判断された場合に構音訓練がスタートします。

構音訓練は言葉のリハビリの専門家である言語聴覚士によって行われます。

練習はお子さんの状況にもよりますが週に1回程度。
1回の時間は30分~1時間くらい。
練習期間は早い子で1年間くらい、遅い子だと2~3年はかかります。
 
 
 

4. 気をつけること

サ行の音が言えるのは5歳前後と先ほど書きました。

そのため「6歳になってもサ行が言えなかったら相談してみようかな」とか「小学校に入学して落ちついてから考えようかな」と考える親御さんもいるかもしれません。

しかしながら、どこの病院も構音訓練はお子さんの予約が多いので、すぐに練習が開始できるとは限りません。

予約が1年待ちなんて病院もざらにあります。

子供の発音の相談は早め早めに動かないと予定通りいきません。

構音訓練の適齢期は5歳前後で、その年齢のお子さんを病院は優先する傾向があります。

なので相談に来る時期が遅い場合、特に小学校以降になると、本当に忙しい病院だと「来るのが遅い」と言わんばかりに後回しにされたり断られたりする可能性もあります。

病院を受診するって親からしたら敷居が高いですよね。

でも、「行くだけ行ってみようかな」くらいの気持ちでいいのでとりあえず心配事は早めに相談したほうが安心かと思います。
 
 
 

5. その他の記事

子供の滑舌に役立つ、口を動かす遊び

子供の発音は何歳まで様子を見て、何歳から練習させたほうがいいのか?

機能性構音障害とは?
 
 
 

6. 参考資料

本間慎治『改訂 機能性構音障害』建帛社、2007年

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