子供の自尊心が低いとどうなるのか?
素朴な疑問として、
子供の自尊心が低いとどうなるのでしょう?
「低い」の程度や状況によって様々でしょうが、
自尊心が低いと人は物質主義に陥りがちです。
「物質主義」とは物で心が満たされる性質です。
以下、もう少し詳しく。
どんなときに幸せを感じる?
人はどんなときに幸せを感じるのでしょう?
心理学者のラン・グエン・チャプリンとデボラ・レダー・ジョンらは、研究において人が幸せになれることを大きく5つのテーマに分けました。
その5つとは、
・趣味(好きなことをして過ごす)
・スポーツ(体を動かす)
・品物(新しい物や自分専用の物を所有する)
・人(友人や他者と関わる)
・自慢できること(いい成績や楽器を弾けるといったスキル)
です。
これらのテーマに関連したいろいろな絵を、子供達に「自分が幸せになれること」というテーマでボードに取捨選択してもらったそうです。
また、別のアンケートで、「自分の外見に満足している」など自尊心に関わる質問を並行して行いました。
結果、自尊心の低い子はそうでない子に比べて品物の絵を多く選ぶ、つまり物質主義の傾向が見られたそうです。
幸せの多様さ
物を所有するという行為は、誰しもが少なからず心踊る営みです。
しかし人間、幸せのかたちはそれだけではないはずです。
物をもらうことは嬉しいですが、その物が、大切な人が一生懸命選んでくれたプレゼントだったらなお嬉しいでしょう。
味覚としておいしい食事は素敵ですが、大好きな家族と一緒に食卓を囲むことができればなお美味しく記憶に残るものになるでしょう。
好きな本を読むという趣味の時間が、その人にとって幸せを与えてくれる営みであったりします。
幸せの多様さは、ある意味で心の豊かさでもあります。
先ほどの実験には続きがあり、
子供達にお互いのいいところを書き出して交換してもらうようにしたそうです。
それらを見ることで子供達の自尊心は高まりました。
結果、再度「自分が幸せになれること」のボード作りを行うと品物の絵の割合が減ったそうです。
おわりに
人の価値観は様々ですが、やはり我が子には多様な価値観を持って育っていってほしいものです。
好きなおもちゃを買ってもらって喜ぶ。
それはもちろんいいことです。
しかしその一方で、
他者からの「ありがとう」という言葉を喜べる。
人と接する時間を楽しめる。
宿題を頑張り、結果としてテストで良い点を取れたその努力と過程に達成感を感じることができる。
物以外のいろんな幸せを感じてもらいたいものです。
そのためには、豊かに育まれた自尊心が必要です。
仮に自尊心が低い傾向にあっても、自尊心は周囲の働きかけで変化する可能性も持っています。