「ちょっと待ってて」親はついつい言ってしまいますね。
けれど、子供は待てないものです。
落ち着きのない子だと、「さすがにもうちょっと待てないかなあ」と親は思ってしまうもの。
今日は「待つ」というスキルについてです。
1. 「待てる」ことの大切さ
2. 子供が5倍我慢強くなる工夫
3. 子育てのキーワードは自制心
4. イメージを持ってそれになりきる
5. 自分をコントロールするコツを知る
6. まとめ
7. その他の記事
8. 参考文献
「待てる」ことの大切さ
人間にとって「待つ」という行為は退屈なものです。
子供ならなおさらでしょう。
しかし学校でも家庭でも上手に「待てる」かどうかは非常に重要なスキルです。
集団行動では一列に並んで待つでしょう。
授業中は先生が黒板に書いていることをじっと見ます。
給食の配膳は順番です。
待つという行為は社会生活の中で欠かせません。
待つスキルは人生全般にも影響します。
ある意味、努力や計画性には待つことが必要です。
人生をより良く生きるには、目先のことにすぐにとびつくのではなく、先のことを考えて今の行動を決めないといけないからです。
しかしながら、待つことができないお子さんは多いですよね。
時には待つことの大切さを教えたり、適度な範囲で叱責することも必要でしょうが、それ以上に、子供が待てる工夫をし、待てることを習慣化し、「待つことができる」という成功体験を積むことが重要になってきます。
子供が5倍我慢強くなる工夫
ロシアの研究でおもしろいものがあります。
「どのくらい長くじっと立っていられるかな?」と単純な指示では子供達は2分くらいしか待てませんでした。
しかし「持ち場で見張りをしている兵隊さんごっこをするよ」と役になりきるような言い方をすると子供達は11分も待てました。
このように「何かをイメージする」、「その役になりきる」というのは非常に重要な教育法です。
子育てのキーワードは自制心
「待つ」という行為は自分行動を自分で制御する行為です。
つまり自制心が必要なわけです。
自制心とは非常に重要なキーワード。
自制心はある意味IQなどの知的能力よりも人生に影響します。
【もっと詳しく】
・人間にとってIQよりも大切なもの
・IQよりも大切な、「自制心」の鍛え方
自制心を伸ばすとなると、叱責を入れながら根性的な指導をするイメージがありますね。
けれど実際はちょっと違います。
自制心を鍛える方法は
・成功するイメージを持ってそれになりきる
・自分をコントロールするコツを知る
などが効果的です。
イメージを持ってそれになりきる
イメージをもってその役割を演じるように行動するのは非常に有益な工夫です。
ドラマで共演した芸能人が後に本当に恋愛関係になるという話はちょこちょこ聞きますね。
人間は「こうなろう」と未来の姿を想像するより、「こうなんだ」と今のこの瞬間からなりきるほうが実現します。
先ほどの「兵隊ごっこ」で子供達が長く待てたのはまさにそれなわけです。
自分をコントロールするコツを知る
マシュマロテストという教育学において有名な実験があります。
子供達を部屋に一人にし、机の上にお菓子(マシュマロなど)を置きます。
「先生は部屋から少し出ていくね。お菓子を食べてもいいけど、我慢できたら先生が戻ってきたときにもっとお菓子をあげるね」と言います。
まさに自制心が試される実験です。
このときお菓子を我慢できた子供は単純に我慢するのではなく、目を閉じたり後ろを向いてお菓子を見ないようにしたり、歌を歌って気をそらすなど工夫を自分でできた子供達でした。
このように、ただ根性に任せるのではなく、どうすれば自制心を楽に促せるかを知って工夫できる習慣が大切なわけです。
まとめ
子供達が集団生活を送る上で「待つ」という行為は大切なスキルです。
しかし待てる力は単純に根性論で身につくわけではありません。
何かになりきったり、気をそらす工夫などをすることが有効です。
そして親や周りの大人は自制心を促す方法論を子供達に教えてあげることが必要です。
その方法が上手くいったら「おまわりさんをイメージすると待つのが楽だね」というように褒めつつ上手くいった理由をそれとなく気づかせてあげるのです。
その他の記事
参考文献
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年